春の神田川は最高である。あえて説明するまでもないだろう。
「トランプで 神経衰弱 してる国」
アメリカは一体どうなるのでしょう。
「立て看に シュプレヒコール 自己否定」
時代を感じる… おじいちゃんは桜を見て学生運動を思うのだろうか……
「バリ封で 授業ないのに 金をとる」
学生運動ものがもう一つ。ひねりがなくていまいちだな。
面影橋の近く、川沿いにこんなかんじの川柳が貼り付けられている。やや年代を感じざるを得ないが、なかなかいかしているではないか。
花びらはだいぶ散ってしまっていて、葉桜になりつつある。The Cardigansでも聞いてセンチメンタルにいってみようじゃないかとスマートフォンをたたく。一人で春を満喫している。
The Cardigans聞いてますオーラを醸してしまったからなのか、橋の上でサブカル女子大生然とした、女の子に話しかけられる。ベレー帽が居心地悪そうに頭に乗っかっている。「ちょっと花びら散らすの手伝ってもらえませんか。」
「え、まじっすか」といいながらも断りきることもせずに、説明を受ける。
一眼レフをのぞき込み、「じゃあお願いします」と一言。手のひらに集めた花弁をはらはらと散らす。そんなことしてまで写真を撮りたいのか…過剰演出ではないだろうかと思いつつ、やらせに加担をする。やたらきれいに花びらが散っている神田川の桜の画像がどこかに上がっていたら、それはやらせの可能性が高いので気を付けてください。彼女は、ありがとうございます!!と快活に言い放ちすぐにそこから去っていった。
ああ苦手なタイプの人だったなあ。近くにいたら疲れるだろうなあ、と心で思う。水辺にはならず者が集まる、春は変人が活動しだすという一般的な命題を考えれば、春に川沿いを歩けば変な人に会ってしまうのはもはや必然だったといえるかもしれない。
都電荒川線が淡い景色のなかをしゅぽしゅぽ通り抜けていくのを眺め、車掌にでもなってのんびり生きていきたい気がしてくる。実際にやったら数日で飽きるのだろうけど。
そのまま歩きつづけ、鷹虎に入る。鷹虎はいつ来てもとにかく最高である。
春のけだるさには、塩分とカロリーである。