サニーデイサービスというバンドがいる。はっぴいえんどを彷彿させるフォークっぽいサウンドにけだるい歌詞、青年期のどうしようもない感じを切り取ることに非常にたけているバンドだ。90年代に活躍して2000年に解散したけれど、最近になって再結成し、ポップソングが好きな人々から人気を博している(とおもう)
どのバンドにも、これ一枚とりあえず聞いとけ的なアルバムがあると思う。サニーデイサービスの場合それは「東京」であることにきっと多くのファンは同意してくれるはずだ。このジャケットがなかなかいい味をだしている。色あせた風景に吹けば消し飛んでいきそうな桜、天気が良くない日が続いている今年の春にぴったりである。
http://rose-records.jp/2016/05/20boxcdlp.html
このジャケットがどこで撮影されたのか調べてみることにした。Googleはなんでもおしえてくれるもので、検索窓を叩いたら、場所についてのおおよその目星がついた。どうやらこのジャケットは、千鳥ヶ淵で撮影されたものらしい。この川のようなものは、お堀だったのである。
そうと分かれば話ははやい。建物と橋のかんじでちょっと歩いたらおおよその場所は分かるだろう。示し合わせたように雨があがったので、家を出た。
出発はこのあたり。
おそらく、あの橋は首都高に違いないと推察し、首都高に向かって歩いていくことにした。
千鳥ヶ淵の桜はなかなか立派である。堀に向かって枝が垂れ込めているのはかなげである。
きれい
カップルと家族の楽し気な様子を、なんだなんだおい!桜は孤独に楽しむものだぞと睥睨しながら歩くこと数分。いよいよ、首都高のそばまでやってきた。
ということでそれっぽい写真を撮ってみる。
おお!かなりそれっぽいではないか。なんだ簡単に見つかってしまったなあと思って帰ろうとしたのだが、よく見ると背景がどうも違う気がするのだ。よく見ると首都高の角度も違う気がする……なぜだ、なぜなのだ、どこの角度からとればいいのだとうろうろすること20分、はたと気づいた。そうか首都高の向こう側からとっているのかもしれない!!簡単なことに気が付かなかったなあと再び歩みを進める。
ということではるばる逆側まで歩いてきた。ここまでゆうに1時間は経過している。雨のせいで道はぬかるみ靴はどろどろ、足もだんだんと重くなってきたけれど、なんとかそれらしきところにやってきた。
橋の角度はこちら側のような気がする。しかし、桜がいいポジションに全くないのである!なんということだ。簡単にみつかるかと思いきや、ぜんぜん、その場所がわからない。いい加減足も疲れてきた。しかし、ここであきらめるわけにもいかない… 堀の中へ行って見るかと思い、ぐるっと回ってさらに歩くこと30分。結局、ジャケットの写真ドンピシャの場所は、現れなかった……
失意に駆られながら帰り道に撮った写真をツイートしてみた。思ったよりも反響があって、6RT29いいねがついた。
サニーデイサービスの東京のジャケットが撮影された場所を探しにいった。一時間半くらい歩いたけどわからなかった... pic.twitter.com/Je8gADS8vb
— きくち (@zebra_stripe_) 2017年4月9日
どうやら、昔あったぴったりの位置に、今は桜がはえていないのかもしれない。完璧に同じ構図で写真を撮ることはできなくなってしまっているみたいだ。
追記 2018年4月2日
小田島くんの当時の仕事の相方さん守矢くんのお父様の写真集!RT @ODAZZI: 私が23歳の時にデザインしたサニーデイ・サービス『東京』の写真元ネタ。先日神保町で再び巡り会えた。 #サニーデイサービス pic.twitter.com/GmhMCxZckx
— 曽我部恵一 (@keiichisokabe) 2015年9月16日
この写真にさらに彩色して完成したのが『東京』のジャケット。桜のジャケット案はあったものの、なかなかノスタルジックな写真が撮れなかったところに突然降ってきた話だった。いろんな偶然に引き寄せられたアルバムだった。
— 曽我部恵一 (@keiichisokabe) 2015年9月16日