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テレビ東京の番組「家、ついて行ってイイですか」はあなたの人生の物語 ファンの家に住む30歳歌手、長渕剛ファンのパラリンピック選手、ヤギを飼う女

甘いものがすきだ。季節、湿度、時間帯などなど、様々な変数によって食べたいものはかわるのだが、 最近というともっぱら、とろーりクリームプリンが人生3度目となる空前のブームを起こしている。最寄駅からの帰り道、コンビニに寄りとろーりクリームプリンを買うのである。

 

この幸せを糧に日々労働をしているのかもしれない。おそらく、そのコンビニのとろーりクリームプリンの売り上げの70%は僕から巻き上げたものであるとみてほぼ間違いない。

 

ウキウキ気分で家につき、とりあえず、まだそんな季節でもないかと思うが、クーラーをフルスロットルでまわし、部屋を冷やす。がんがんに冷やすのである。机に座り、ふたを開ける。ゆらゆらと揺蕩う真っ白いクリーム、卵と砂糖の醸す甘美なにおい。最高だ。うまいのだ……

 

テレビをつけると、「家、ついて行ってイイですか」のスペシャルがやっていた。テレ東の番組だ。終電を逃した人にインタビューをして、タクシー代を払うので家までついていっていいですか、という番組である。

 

 

テレビには30歳の女性が写っていた。種子島出身、早稲田第一文学部を卒業し、塾で働きだしたけれど、すぐに退職、現在、音楽活動をしているそうだ。もてなくて、鬱屈していて、でも自分のことをどこかで特別なんじゃないかと思っていた自分のような人に向けて歌を歌いたくて昭和歌謡曲をロックなアレンジで弾き語りするバンドをやっているらしい。

 

タクシーがついたところは一軒家であった。けっこうちゃんとしたところに住んでるんだと思いきや、そこはなんとバンドのファンの人の家なのだという。居候しているのである。しかも、ファンといっても、75歳の元大学教授。老人の家に居候する30歳女性。雑然と散らかった部屋でビールをぐびぐび飲む、畳の上でさも気持ちよさそうに。部屋干しの洗濯物を背景に、美空ひばり港町十三番地を豪快に歌う。なんて楽しそうなんだ。元大学教授のおじいちゃんも、75歳なのにきちっとスーツを着こなしていい味をだしている。ワインなんかのみながらほくそ笑んで、友達の愛だからね、って言うのだ。かっこいいじゃないか…

 

空になったプリンのケースを捨てて、冷蔵庫にあるハイボール缶を取りに行ってたら、次の人が出てきた。障がい者の男性だ。長渕剛のライブスタッフをやっていたらしい。仕事中に事故にあって半身不随になるも、パワーリフティングを初めて、めきめき成長し、現在ではパラリンピックに出ているそうだ。リオでは5位だったらしい。

 

にかにかと嬉しそうに長渕剛の話をしていたと思えば、精悍な顔つきで、家に取り付けられたトレーニング用の棒を使って車いすごと懸垂をする。まあ足動かなくなったけど、いろいろ楽しいし、パラリンピックでれたし、第二の人生最高ですわ!といった様子である。なんてたくましい……

 

次に出てきたのはヤギを飼っている女性だ。家畜ではなく、ペットとして、ヤギをかっているのである。みなさん、知っていますか。ヤギというのは20~30万円で買えるものらしいのだ。一軒家の中をわがもの顔で歩くヤギ、バケツに顔を突っ込んで藁を食むヤギ、お手をするヤギ…… ちょっと大きな大型犬みたいな感覚らしい。

 

何かを取り出したかと思えば、飼い主の女性は惑星を探索するヤギになるゲームに夢中になっている。いかにもオタクといった早口でまくし立てる。とにかくめちゃくちゃに変わった人なのだ。「惑星を探索するヤギになる」意味不明だと思う方はぜひ、動画でも探してみてほしい……衝撃的なゲームである。ヤギが好きすぎて、やぎの仮面をかぶりだす。彼氏はいるんですかとディレクターに聞かれて、答える。

 

「友達から彼氏になりかけても、でもヤギが好きだっておもっちゃう」

 

 

しまいには、ヤギへの感情がこじれすぎて涙しはじめる。こんな不可思議な涙があるのか…… ヤギは法律的にペットとして扱われないので、こんなに愛しているのに死んだあと、ヤギを墓に入れることができない、埋葬してあげられないと泣くのだ。

 

 

色々な人がいて、いろいろな生活があり、いろいろな物語があるんだなあ。テッドチャンの小説が頭に浮かんだ。「あなたの人生の物語」。普通に生きてると一枚岩のように感じたりするこの現実はなんと豊かなのだろうか…… 何回もみているけど今回のスペシャルなかなか強烈だった。

 

www.tv-tokyo.co.jp