今夜はいやほい

きゃりーぱみゅぱみゅの「原宿いやほい」のいやほいとは何かについて考察するブログ

シドニーでメールをばらまきシェアハウスを探す編

大きな街路樹が風にふかれ葉を揺らし、シドニーの街はさっぱりとしたいい匂いがした。

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スーツケースを弾きながら広々とした大通りを歩いて宿泊予定だったユースホステルへ向かった。道端にあったサンドイッチやでいかにも外国の食べ物といったようすの巨大サンドイッチを買った。行儀悪くも食べながら歩いていると、突如天候が崩れ始め大雨が降り出した。

 

ついてないなと思いながらコンビニで傘を買った。びしょぬれになりながらユースホテルまでたどり着くことができた。買ったサンドイッチは食べ終えることなくぐしょぐしょになってしまっていた。仕方がないのでごみ箱へ捨てた。

 

受付を済ませた。知らない人4人と相部屋だった。ごろりとベッドに横になった。なんだかひどく疲れていた。パタッと寝て数時間後ハタと起き上がった。雨は降り続いているようだった。外は暗くなり始めていた。宿は3日分とってった。そのあとはどこかへ移り住まなくてはいけなかった。

 

家族もいない、友人もいない、それどころか知っている人もおらず、言葉もうまくは通じず、住む場所も補償されていない、それはいままで味わったことのない感覚であった。ああ、これはいわゆる孤独というやつなのだなと、一人ベッドの上で寝返りを打った。日本に住んでいるということはそれだけで、どれだけ多くのクッションの中で生きているのだろうと思ったのだった。

 

一方で、自分のことを誰も知らない土地にいるというのはカラっとした自由があった。それはそれで、どこかで生きやすいことのような気もした。腹が減ったし、何か買いに行くかとベッドから起き上がると、相部屋の使用者がドアを開けて入ってきた。

 

「お、君は日本人?」

 

「そうだよ、きみは?」

 

彼は優男スマイルを浮かべた。

 

「韓国人だよ。シドニーにはいつきたの?」

 

「今日来たばっかりなんだよね。だから何もわからなくて」

 

日本人特有のあいまいスマイルをおかえしした。

 

「そうなんだ。ぼくも3日前に来たばっかりなんだ。よかったら仲良くしてよ」

 

この気さくな韓国人はボンといった。おそらくあだ名がボンなだけで本名は別にあるのだろう。韓国語は読めないので本当はどんな名前なのかはわからない。ボンは気さくで優しく歳も近かったので、シドニーで何回も遊んだ。日本に帰ってからも、釜山まで彼に会いにいったりする仲となった。釜山のボンの家に泊めてもらったときに判明したのだが、彼の父親は大学教授で母親は化学系の企業の役員、彼自身も起業している大変なエリートだったのだ。

 

買ってきた冷凍食品んのピラフをほうばった。イヤホンを差し込んでAKBの引っ越しましたを聞いた。俗っぽい日本語が心地よかった。

 

 結局3日では住処は見つからなかった。仕方なく、2日宿泊を延長することになった。このままでは見る見るうちに金がなくなっていく、まずいと思い立ち、相部屋のベッドでごろごろしながら、ネット掲示板でシェアアハウスの同居人募集中という記事をさがしてはメールを投げてみた。やっとシェアハウスの話である。

 

シドニーは地価が高くなりすぎて、家族住まいと一部の金持ち以外の人々はほとんどシェアハウスをしているという驚くべき住環境になっているようだった。移民国家に最適化された結果の出来事であるようだった。細かい手続きなどしなくても、シェアハウスの主が住んでいいよといえば、外国人であろうなんであろうと次の日から入居することができるのである。書類も証明書も手続きもいらない、きわめてざっくりとした運用なのである。

 

家なき子となり、ほとんど移民状態の僕もこれにあやかっていこう作戦をとることにした。乱れ飛ばされたメールにすぐ返信が来た。僕は、正直住めればどこでもいいか状態になっていたので、ちょっとだけ内見をさせてもらい、とんとん拍子にシドニーの中華街の近くにある3LDKのマンションに入居することになった。なかなかきれいな白塗りのマンションだった。

 
つづく

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