前:嵊山島上陸、廃墟となった後頭湾村で犬が吠えた 中国廃墟潜入編④ - 今夜はいやほい
記憶が定かじゃなくなってきたのでディレクターズカット版。
タクシーに乗る。廃墟から帰還する際に嵊山島のトンネルを通る。これが底なしの恐怖。工事中のトンネルはなんと竹で足場が組まれていて今にも落盤が発生しそうな雰囲気だった。車が駆け抜ける空気圧で、すごい勢いでカバーの布がはためいていた。トンネルは車1台しか通れない幅だったので、タクシードライバーはクラクションをびゃーびゃー鳴らし、前から車が来ないように威嚇しながら爆進していた。
とても静かな、街で一番栄えている通り。港町なので独特のタフな感じが漂っていた。
時間が限りなくゆっくりだ
この街はパジャマの民が多い。
海の男はくすんだ空を見ていた。目を細めると地中海にいる気がしないでもない。
小さな工具店が並んでいた
市場の周り、タクシー、バスがたくさん行きかう交通の要所。色の薄い街であった。
待ちに待った夕飯タイム。漁港なんだし天下の中華料理だし、きっとうまいものがあるだろうと期待して、適当に店に入る。
美味しい蟹、しかし、食べれる部分が絶望的に少なかった。
空腹な男たちに蝕まれようとしている魚。淡白であまり魚のうまさがなかった。味付けはよかった。
絶望的な味だった、なにか。絶望的だったのでぶれてしまった。
全体的に、非常に微妙な味が多く、漁港だ!海鮮だ!ぜったいうまいものあるだろうテンションで店に乗り込んでいった我々の心はいともたやすく砕かれたのだった。
店を出ると、あたりは真っ暗であった。昼、漁にでていた人が戻ってきたのか、にぎやかになっていた。飲食街の雑多なエネルギーがほとばしっていた。
宿に帰る
海岸線にだけ元気にあかりがともっていた。
宿のベッドに寝っ転がる。ベニヤ板の上に布がかぶせてあるというレベルの原初的なベッドだった。香港で一番安い宿に泊まった時でももう少し柔らかみがあったぞ、どうなってるんだ!これで寝るのかとにわかに絶望が襲う。どこまでも限界的な状況である。
絶望を収めるべく、舟山市のお酒を飲む。
薄い紹興酒のような味。グレートウォールに阻まれほとんどネットも見れなかったので、テレビをつける。
中国共産党による思想教育のようなものが延々と流れていた。
ベニヤ板ベッドに横になり、うす紹興酒を舐め、中国共産党の思想教育を眺め、疲れたね、疲れましたね、と慰労をしあう。海風が窓をどんどんと叩いていて、ああ、これ、明日、たぶん、船でないんだろうな…という諦念が体にじわじわと浸透してくる。
安い酒に酔いながら眠りについた。硬く冷たいベッドだった。
漁船チャーター孤島脱出計画、および松浦亜弥万能論 中国廃墟潜入編⑥ - 今夜はいやほい