旅の帰りの電車である。常磐線は暗闇の中を東京に向かって走っていた。
「今回の旅行は、ブログに書くの?」と先輩が尋ねてきた。
「書かないんじゃないですかね~」僕は答えた。
「え、書かないんですか!?」後輩の加藤はからかうように言った。
「うん、まあ、暇だったら書くのかもしれないけど、どうなんだろう。去年、伊勢に行ったのも書いてないし、ドバイ行ったのだってほとんど書いてないし、そんなに毎回毎回書いてるわけじゃないんだよ」
「ブログに書いてもらうにもハードルがあるんですねえ、もっと楽しい旅にする必要がありましたね」
「いや、楽しくなかったわけではないんだけどね」
「きくちくんは、私をあげつらうようなことばかり書いて本当にひどいけど、結構楽しみにしてるんですよ」先輩は、数少ないブログの読者であった。
「う~ん、じゃあ、まあ、もしかすると書くのかもしれませんね」
今回の旅行は福島浜通りである。ブログはたぶん書かないだろうなあと思っていた。なぜなら、泊まった場所も広野町だし、いつもの調子で書くのはちょっと難しいような気がするなとか、ほとんど読んでいる人もいないにもかかわらず、そんなことがあたまに浮かんできていたからである。
しかし、福島に行ってきて、う~ん、ちょっと書きにくいから、書くのやめよっていうのも、なんとなく悲しいことに思われたので、やっぱり書くことにしてみた次第なのである。
始まったかと思えば、シーンは帰宅列車。書くのか書かないのかよくわからないが、さわりだけが無意味に書かれたのであった。
時間を巻き戻して出発の東京。朝7時30分に僕はホームに立っていた。
つづく(のかもしれない)