今夜はいやほい

きゃりーぱみゅぱみゅの「原宿いやほい」のいやほいとは何か考察するブログ

ゴールデンウィークの旅先としての新潟、胎内市・村上市。ぼんやり観光ふらふらるるぶ

ゴールデンウィークに対して、人はいろいろな態度をとる。久しく合ってない友人と会うから、飲み会の予定が入ってるのさ、ゴールデンウィーク放蕩派。予定がないから、部屋にこもるかな、無頼派。人ごみ嫌だからさと都会風のことをうそぶく、隠遁派。積極的かつ果敢に人ごみへと出かけていく、タカ派。いやいや、やっぱり海外でしょ越境派などなどである

 

僕はといえば、新潟に行ってきた。穏健的タカ派である。ゴールデンウィークに新潟に行こうと思う人はあまりいないらしく、新幹線もわりとスカスカであった。なぜ新潟に行くことになったのか、その経緯については、正確に思い出すことができないのだが、それぞれ魅力的であった、北海道案と直島案が棄却され、なぜか新潟案が採択された。

 

当日までほとんど行程を決めることなく、明日のことは明日決めるのだ、それこそが旅なのだ精神の元、新潟行きは厳かに決行された。

 

新幹線の中、ことりっぷというかわいらしいガイドブックをふんふんと眺めつつ、かといって詳細に何かを決めるというわけでもなく、友人たちと北へ行くか、南へ行くか、それが問題だ、というおぼろげな課題だけを共有して、眠りについた。起きたら新潟についていた。

 

朝の気怠い体を抱え、駅へ降り立ち、何処へ行こうか……と立ち尽くした。どこへ行くか決めていないのだから当然である。

 

「どこに行こうか」

 

「う~ん、そうねえ」

 

「はれてるね、よかったよかった」

 

「そうだねえ」

 

という空疎なコミュニケーションがおこなわれた。早朝の駅にはNGT48が元気よく流れていた。ぼんやり集団を、新潟は歓迎してくれているようだった。快活な少女の声に耳を傾けつつ当座の方向性を話し合った。風は肌寒かった。東京より、気温が3~4度低いように思われた。

 

沼垂(ぬったり)という地名がこのふんわり状態に、フィットしているような気がしたので、ぬったりにしよっかと提案をしてみた。友人たちも、何かとりたてて案があるわけではないので、ぬったりに行くことになった。このぬったりという地区には、バラックを改装した街並みがあり、ひなびたいい雰囲気なのだ。

 

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農具が飾り付けられたなぞの民家があった。玩具みたいだ。

 

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立ち並ぶ、改築バラックにはドライフラワーショップや食器やなどお洒落な店がたくさんはいっている。どの店も、せかせかした様子もなく、ゆっくりとした時間が流れていた。ある喫茶店はまだ午前中だというのに、豆がなくなったから、店を閉めますと、張り紙を窓に掲げていた。なんと、おだやかなのだとろう。ぬったりスタイルを見習っていきたいものだ。

 

ねこ型のたい焼きのようなものをたべる。もちもちでげきうま。天気も良い。写真を見返していて思ったが女子旅感がすごい。ことりっぷを見るとこんなにも、女子旅的になるのかとおどろく。

 

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新潟駅に着いたのが10時過ぎだったので、お昼をたべることに。新潟といえば魚介である。ピア万代という市場へ移動。市場は人であふれていた。そしていい匂いであふれていた。元凶はこれだ。

 

のどぐろ!!

 

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のどぐろである。日差しに照らされた、妖艶な赤。うねる身、なんという動物的なたけだけしさだろう。満場一致で食べるしかないとの結論に至り、のどぐろ、鮎、鯖を購入。いまみてもおそろしくうまそうである。

 

 

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うまいうまいと、一瞬でたべる。新鮮な魚はとにかく圧倒的にうまい。文句なしでうまいのだ。のどぐろなんて、あぶらがあれよあれよと溢れてきて、こんな贅沢が許されるのかと嘆息を漏らさんばかりの味なのだった。

 

同時に、われわれの視界には、もうひとつの動物性暴力源が目に入っていた。蟹だ。甲羅は、汝、我、食べたまえと言わんばかりの雄弁な赤を放っていた。

  

はあと、諦念をおびためいきを漏らし、わかった、わかったかうよと財布の紐を解く。じゃ、それ一匹と告げると、店のお兄さんは、ちょっと小さめだから、二匹あげるよと言い、ケースに溢れんばかりの蟹を我らに与えたもうた。シュワキマセリ!!!

 

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蟹はうまい。がさがさと無心に甲羅を割り、むしゃむしゃとたべる。到着3時間、少し考えてみれば、ご飯を食べただけなのだが、はっは、これはもう圧倒的に、旅行が成功したと言えるなあと、心でふんぞり返った。

 

ごはんを食べながら、僕たちの行き先南北問題については、天気がよかったので、北へ向かい夕陽を見るというプランが採択された。

 

腹が満たされたので、胎内市までチューリップを見に行くことに。春だし、花のひとつもめでたい気分だったのだ。レンタカーに乗り込み、 友人のスマホで、LA LA LANDのサントラを流し、正しく若者的に、ドライブを楽しんだ。

 

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カメラをもっていると、カメラを持っていない人に置いて行かれるという現象が発生する。

 

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楽しそうに歩いていく二人に背を向け写真をとった。

 

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きれいなもんですね。チューリップといのは。チューリップというと、きゅっと閉じた花弁を想像するけど、実際はいろいろな形があるようだ。新潟は日本で初めてチューリップの球根を作った場所らしく、町中にふつうにチューリップが植え付けられたりしていた。街に花が咲いているのはなかなかよいものである。

 

胎内市から、村上市まで移動。小腹がすいたので十輪寺茶屋で団子を食べる。おいしい。

 

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村上市はも古い町並みが残っていて、歩くと楽しい。鮭ショップなるものがあったので入ってみる。ゆらゆらと木漏れ日がゆれる部屋がお出迎えしてくれた。木漏れ日が差し込む木造家屋というのは、理想的居住である。

 

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無限に干されている鮭。壮観だ。

 

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ゾンビ的で怖い。人生も様々であれば、魚の生も様々だ。彼らが雄大な海を、わがもので泳いでいた時、いったいどうやって、干されつるされ、居室の無を漂うことを想像しうるだろう。

 

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ゾンビ鮭の一生にかりそめの祈りを捧げ、鮭ハムなるものを購入し、店を後にした。

 

OASISを流してメーベーアイドンリリワナノーと合唱しつつ、車を走らせ、笹川流れへ。水がはられ始めた田んぼがたくさんあった。実家は田んぼだらけのところだったけれど、久しぶりに見ると、水田というのはなかなか良いものである。車を停める。ドアを開ける。陽がくれかけている。おー、と三人で、感心をする。

 

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小石が敷き詰められた海岸線を、がしゃがしゃとあるく。でっかい岩がそびえたっていた。

 

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 松尾芭蕉が「しばらくは瀧にこもるや夏の初め」という俳句を読んでいたことをなんとなくおもいだす。さっぱりとした海に夏の気配のようなものを感じながら、暮れていく陽を眺めた。

 

フィリピンに行ったときに、タクシードライバーのおじさんはこんなことを言った。「東南アジアっていうのは暑いだろ?暑いと人間はアートを失うんだ。わかるか?」 

  

東南アジアにも芸術はあるに違いないので、なかなか問題発言なのではないかと思ったが、分からないでもなあともおもった。芭蕉が旅をしながら俳句を詠んだ気持ちが少しわかるような気がする。岩のごつごつが隆起する肌寒い海というのはなかなか強引に詩情を喚起するものなのだ。

 

 無言で、パシャパシャ写真を撮り、また季節を変えてきてみたいなあとそんなことを思う。

 

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春の陽はくれなずみ、あたりは少しの間うすぐらく、潮騒がしゃぱしゃぱと響き続けていた。

 

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新潟市まで戻って、夕飯を食べる。21時をまわっていた。昼ごはんが少し早い時間だったので、皆、尋常ではない腹の減り具合だった。凄まじい勢いで、夕飯は胃にながしこまれた。

 

のっぺ

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味噌が挟まれた油揚げ。やたらとうまい。そしてハイボールは、速やかに体にしみわたり、あらゆるものの輪郭が薄くなっていくような気が知た。

 

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〆は鯛めし。鯛の香りがと、三葉の香りよいのですね。

 

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最後にお茶漬けにする。うまい。海苔の香りがいいアクセントだった。

 

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他にも刺身やら、鳥の半身揚げなど腹が破裂してしまいそうなほど食べた。葱ぼうずという居酒屋だったのだが、おすすめできるなかなかいい店だった。ぼんやり紀行は成功をおさめた。店を出て、友人たちと、ああ、さむいうまかったさむいさむいと言いながら、ホテルへ戻って、すぐに寝た。新潟は楽しかった。