中国大陸を駆け抜ける、夜行列車の眠れない夜 -無座・硬座・軟座③ - 今夜はいやほい
重慶北駅
最初に重慶の秘境駅とネットで話題になっていた曹家湾駅を見に行くことになった。夜行列車で体の節々が軋みをあげていた。
開発が途中で終わってしまったらしく、駅の中はやたらと近代的なのに、駅を出ると、荒廃した土地が広がっているという不思議な光景で有名になったようだ。
ふつうにかっこいい駅だ。
ただ人は少なく、あまり使われていないのかなという印象だ。エスカレータを上がって出口へ向かう。
なにもない……
ポストアポカリプス的光景だ。滅びた世界にかろうじて残った文明の形跡……
こういう光景が喚起する感情とは一体なんなのだろう。国破れて駅があり…人間が滅びても世界は続いていくのだ。
曹家湾駅を後にして、電車で中心地へ戻る。重慶はかなり大きな都市だ。高層ビルが川ぞいに林立している。煙った空気にかすんで、水墨画でも見ているような気がしてくる。
重慶中国三峡博物館へ向かう。博物館の向かいには重慶人民ホールがたっている。なかなか立派な建築だ。前には広場が広がっている。
最近、ケン・リュウが編んだ、折りたたみ北京という短編集を読んだ。童童の夏という短編のあとがきに、中国の老人たちへの言及があった。中国の広場には趣味に興じる老人たちの活気がある。
老若男女がおもいおもいに遊んでいる。シャボン玉がぽわぽわと飛び交っている。
”死が迫るのを感じながら生活するのも、恐るには値しないのだ。”
和気藹々としている。
ボールをぽんぽんするなぞのグッズが流行っていた。
中国の広場が好きだ。日本には全然広場がないのを悲しく思う。広場がないから、若者は渋谷のスクランブル交差点に集まるしかないのではないのだろうか。
重慶中国三峡博物館を見てまわる。大きな建物だ。
against japanの展示がある。重慶といえば、重慶爆撃があった場所である。Wikipediaによれば、重慶爆撃は断続的に218回おこなわれたらしい。近代以降の重慶を語る上では、日本への言及が必須なのだろうなあと思った。しかし、あまり人気がないのか、他の展示に比べて人が少なかった。
毛沢東の言葉が掲げられている。中を進んでいくと、重慶爆撃によって人が死んでいる写真がたくさん展示されている。むごいことだと思う。もうすこし中国の近現代史でも勉強してから行けばよかったなあと思う。
古代から現代まで色々なものがそろっているので、重慶中国三峡博物館はなかなか見応えがあった。