今夜はいやほい

きゃりーぱみゅぱみゅの「原宿いやほい」のいやほいとは何か考察するブログ

東京民のソウルフード、それはジャポネのスパゲティ

あらゆる人にそれぞれのソウルフードがある。ソウルフード、魂の食べ物。ソウルフードと言うのはざっくり言えば、以下のような項目を充足する食べ物なのではないかと思う。

 

1.うまい

2.毎日食べられる価格

3.その土地の固有性がある

 

これを東京で探そうとすると、意外となかなか難しい。1と2はまだいいとして3である。東京の固有性を持ったとは一体なんなのか問題である。東京発の食べ物としては、深川飯とかもんじゃ焼きとか、そういったものがぱっと思い浮かぶ。しかし、それは本当に現代の東京の固有性なのだろうかとも思う。なんというか江戸からせいぜい明治あたりにそれぞれの経緯で生まれてきたっぽいではないかと。では、現代の東京民のソウルフードたりうるものがあるのであれば、それは一体なんなのだろうか。

 

僕が、目下、これこそまさに東京のソウルフード!と呼べるのではないかと思っている食べ物、それこそ、ジャポネのスパゲティなのである。

 

一番好きなジャリコ

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ジャポネのスパゲティは価格帯的には5〜600円。そして、どれも素朴ににおいしい。この時点で、ソウルフード必達要件の2つをはやくも満たしたわけだが、では、ジャポネは3を満たしているのですか、え、どうなんですかという話になる。ジャポネのスパゲティの端的な特徴は混沌である。そして、それこそが他県とくらべた際の東京という土地の固有性なのではないかと思うのだ。


ジャポネのスパゲティというのは、まず、そもそも本当にスパゲティなのかということから謎なのである。そう、食べ物の一丁目一番地であるところの食種からして混沌なのである。じっと、ジャリコの画像をみて欲しい。色味、焦げ付き、混ぜ込まれた具材、だんだんと、この麺類が、どちらかといえば焼きそばや焼うどんに近い気がしてこないだろうか。そして、食べてみると、これまたやはり、正統のいわゆるスパゲティから離れたような味がするのである。

 

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ジャポネのスパゲティは、まず第一に麺にその特徴がある。いわゆる欧風スパゲティのような少し芯のあるタイプではなく、細いうどんとでもいうべきもちもち麺である。これがもう甚だ病みつきなのであり、真っ白な皿の上で悠々と蛇行する焦げの香ばしいもちもち麺に、トマト、小松菜、肉を巻き込んで、ずずっと口に放り込む時の幸福感たらないのである。

 

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店のたたずまいも良い。銀座インズの隅の隅にひっそりと店を構え、さえぎる壁すらない吹き曝し的カウンター。そう壁なんて飾りなのである。その泰然自若たる様にあっては草木が地を割って這い出てきたかのような力強さを感じる。高地価地帯銀座の中の時空間の歪みのような店なのである。

 

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ジャポネは調理法も豪快だ。手慣れたシェフたちは麺をフライパンに投げ入れ、調味料をパパぱっと振りまいたらば、手で、そう、まさにその手で、しゅしゅっとフライパンの中をあざやかに攪拌するのである。カウンター越しに見えるその手捌きたるや、ちょっとした何かの伝統芸能をみているかのようである。リアル・ハンド・メイド・スパゲティなのである。

 

僕の一番好きなジャリコ意外にも、ジャポネは素晴らしいラインナップをそろえている。

 

ナポリタン

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フライパンにぼとっとバターが落とされると、熱をまとって瞬く間に形が崩れ泡をうかべる。そこに、ちょっとギョッとするような量のケチャップが投入される。最後にやはりもちもちの麺と小松菜。ジャポネのスパゲティはとにもかくにも具といえば小松菜なのである。

 

もとより、ナポリタンの麺というのは少しぼよんとしている方が美味しいと思うが、ジャポネのナポリタンの麺は極めてもちもちなので、これが大変よくあうのである。銀座インズの隅の隅っこで、スプーンとフォークで御行儀よく食べる必要などない。ほとんど焼きそばを食べるような勢いで、ガツガツたべられるのが正しい食法なのだと思う。

 

仕事終わりの、あるいは仕事をちょっと抜け出してきた、近所の賃労働者たちが、一列に並び、一点集中で、スパゲティを掻き込んでいる姿たるや壮観である。意外と、女性客も多く、皆一様に無心なる様でフォークでもちもち麺を突き刺しては、せっせと口へ麺を運んでいくのだ。

 

次はキムチ。スパゲティにキムチが入っているなんてあまり聞いたこともないが、ジャポネはなんでもありなのである。

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キムチの白菜がインパクトがある。噛むと甘い。ニンニクの香りも強く、なかなか個性的な味がする。しかし、キムチが入っているからと言って韓国っぽいかというとそんなことはなく、醤油ベースのすごく日本っぽい味付けである。

 

続いてチャイナ。 

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ザーサイが入っていて、よい感じの塩味となっている。これもやはり、ザーサイが入っているからと言って中華料理といった趣はない。どう考えても日本っぽい味付けなのである。

 

最後にインディアン。 

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そう、スパゲティにただカレーがかかっているだけのメニューである。こんな食べ物があったとは!といった感じだ。カレーうどんがあるなら、たしかに、カレースパゲティがあっても良いのかもしれない。とにかくジャポネのスパゲティは、なんでもありの純然たるカオスなのである。

 

東京には特にこれといった名産品があるわけではない。しかし色々なところから、いろいろな人ものが集まってきている雑多な部分が東京の特徴である、もしくは特徴であってほしい。そんな雰囲気が一皿の上にあるようなきがする、ジャポネのスパゲティがここ数年のソウルフードだ。

 

みなさんのソウルフードはなんですか。