ゴールデンウィークに旧箱根街道を歩いてきた。空前絶後の10連休。人のいないところに行きたかったのだ。
平成は終わってしまいました。
出発地点は箱根湯本駅。歩き始めは曇り空だったのだけど、すぐ雲はひらけて、青々とした空になった。
たいして調べずに来たので、どこからが箱根旧街道なのかは不明なのだけど、とりあえず、駅から適当に歩き始める。ふつうの一般道だ。自分が本当に箱根旧街道を歩いているのかよくわからなかった。
30分ほど、温泉街がたちならぶ舗装された道をすすむ。しばらくすると、舗装は剥がれて、旧街道!という感じの自然に満ちた道に突入した。太陽が力強く照りつけていてすぐに汗ばんだ。時々道脇にある箱根旧街道の説明には、昔はこの道を馬にのって歩いていたのだよいうような説明があった。よくこんな道を歩いていたなあと思う。
緑がここちよい。
橋とはいいがたいレベルの木の板の上を歩き、小川を渡っていく。
手を水に浸すと手がきゅっとする冷たさだった。
最初は、本当に箱根旧街道なのだろうかと訝しんでいたけれど、どうやら本当に箱根旧街道であるらしかった。徐々に石畳の比率がたかくなってきた。石畳は江戸時代からのものと、近年張り替えたものがあるらしい。江戸時代から残っているとなるとゆうに三百年超である。昔の人もこうやってのろのろと移動していたのだなあ。
木々の影が色濃い。力強い日差しが木々の隙間からこぼれているのがうつくしい。たまには山を歩くのもいいもんだなあと思う。ゴールデンウィークなのに恐ろしいほどに人がいない。1時間にひとりすれ違うかどうかというレベルだ。虫が鳴く音が聞こえてくるくらいの静けさだった。たまには自然もいいものだ。
2時間くらい歩くと、山道を抜けて、少しの間、人里にでた。日本橋から延々と続いている東海道五十三次。今や東京から箱根まで電車に乗れば1時間30分くらいのものだ。世界はどんどん狭くなっている。
茶屋があったので休憩する。甘酒茶屋というこのお店、なんと400年を超えて営業をつづけているらしい。3時間ほど歩いて疲れ果てていたので、しそジュースを一瞬で飲み干す。甘さしみこみ、体が弛緩していくような気がした。昔、おばあちゃんの家で飲んだしそジュースの味がした。
きなこ餅はふわふわ。
味噌田楽も味が濃くておいしい。腹が減っていたので、すごい勢いで食べた。
今回は芦ノ湖まで歩くかとおもっていたので、陽も落ちてきたけれどひたすら歩く。ペラペラなスニーカーできたので、石畳の凹凸にやられて足首が痛くなってきていた。やっぱり、自然はなめてはいけないな……などと思う。(その後、2週間にわたり激痛が続いた。もし、箱根旧街道に行ってみよう!という人はくれぐれもしっかりした靴を履いていってね……)
苔むした石畳に夕陽が差し込む。ゴールデンウィークの狂騒はどこへやら。このまま歩いていくと、別の世界に行ってしまうんじゃないかというような幻想的な雰囲気があった。
緑色の世界がつづいていく。
恩寵のように降り注ぐ夕陽。江戸時代の人も、こんな光景に胸を打たれたのだろうか。
苔むす石垣。
芦ノ湖についた!!結局4時間超歩き続けた。僕の足はぎりぎり壊れなかった……あと5キロ距離が長ければ、足は壊れていたかもしれない…… 夕陽は落ちて、山脈ごしに残った光がかすかににじんでいた。
アヒルのボートも帰宅中だった。
箱根旧街道は素人が歩くにはちょうど良い距離だなあと思った。人も少なく、すばらしい茶屋もある。なにより景色がよい!また来たいなあと思った。今度はしっかりした靴を履いて……