これから以下の文章は珍妙奇怪な人間に囲まれてしまった、きわめてまともな人間のモノローグのようなものである。珍妙奇怪な人間とはわたしの友人であり、きわめてまともな人間とは私のことである。 「友人が変」という語りにはいささかのうすら寒さが漂う。…
サニーデイサービスというバンドがいる。はっぴいえんどを彷彿させるフォークっぽいサウンドにけだるい歌詞、青年期のどうしようもない感じを切り取ることに非常にたけているバンドだ。90年代に活躍して2000年に解散したけれど、最近になって再結成し、ポッ…
キリンジはKIRINJIになった。 キリンジをしらない人にはなんのことやらだと思うけど、キリンジはKIRINJIになったのである。 KIRINJIはキリンジとはなかなか趣のちがうグループとなり、それはそれでよいのだけど、時々は、あの朴訥とした、よくわからないコー…
ハイボールを3杯飲んだ。そして風呂に入った、夢心地の中にある文章であることを事前にお伝えしておく…… むかしから、音楽をやっている人にはふたパターンのタイプがあるのではないかと思っている。ひとつは、音がなっていることが楽しい人、もう一つは、何…
というわけで、天理市へ向かうことにしたわたしは、電車に乗り込んだ。奈良線で奈良まで行って万葉まほろばなる路線へと乗り換える。万葉まほろば。洒落た名前である。まほろばとは、すばらしい場所といった意味なわけだが、万葉まほろば線に乗って、天理市…
有休がとれたので、京都に行くことにした。なぜ、京都か。夜行バスが激安だったからである。なんと1900円。ファミチキ10個ほどの価格である。ああ、悲しきかな、ありがたきかな低価格競争。LCCしかり、交通機関の値下がり競争には驚かされるばかりである。学…
川上弘美という作家がいる。ついこの間、泉鏡花賞をとって話題になったようだ。代表作の一つが「真鶴」という小説である。 主人公は、失踪してしまった夫の日記帳に書いてあった「真鶴」という言葉に駆り立てられ、東京と、真鶴の間をいったり来たりする。ざ…