2016-01-01から1年間の記事一覧
というわけで、天理市へ向かうことにしたわたしは、電車に乗り込んだ。奈良線で奈良まで行って万葉まほろばなる路線へと乗り換える。万葉まほろば。洒落た名前である。まほろばとは、すばらしい場所といった意味なわけだが、万葉まほろば線に乗って、天理市…
有休がとれたので、京都に行くことにした。なぜ、京都か。夜行バスが激安だったからである。なんと1900円。ファミチキ10個ほどの価格である。ああ、悲しきかな、ありがたきかな低価格競争。LCCしかり、交通機関の値下がり競争には驚かされるばかりである。学…
川上弘美という作家がいる。ついこの間、泉鏡花賞をとって話題になったようだ。代表作の一つが「真鶴」という小説である。 主人公は、失踪してしまった夫の日記帳に書いてあった「真鶴」という言葉に駆り立てられ、東京と、真鶴の間をいったり来たりする。ざ…
日曜日といえば次の日が月曜日になることで有名な曜日である。サザエさん症候群なんていう言葉があるように、何かが終わってしまうような、何かが始まるような、そんなそわそわした気分にさせる、それが日曜日である。 椅子に座ってじっと壁を見つめる。うー…
信濃町の駅のホームで小さなボトルのキャップをひねって一口飲みました。のどが焼けそうです。ボトルの中身はウイスキー。はたから見れば、自殺しようとしてる人か、よっぽどのアル中のように見えたでしょう。 なぜ、ウイスキーを飲んでいたかというと、でき…
東京最終公演に行ってきました。 ライブ会場に入ったら四方八方女性でした。両隣の二人は一曲目で号泣。いやいや、泣きすぎでしょと思いますよ、当然。ところが、二曲目が「フクロウの声が聞こえる」っていう新曲だったんです。歌詞がステージの背景に投影さ…
海を見ていた午後という曲がある。ユーミンも自身のエッセイでよくかけたと言っている一曲で、雨が降り出してしまいそうな時とか、はたまた、なにかこう涙がこぼれるちょっと前のような、そんな雰囲気のある楽曲だ。とにもかくにもせつないのである。 ユーミ…
最近、毎日定時で帰れるので暇なことこのうえない。だらだらと酒を飲みながら、映画をよく見る。前からみたいなあと思っていた英国王のスピーチがHuluに上がっていた。 格調高い、品のよい映画だった。吃音持ちのジョージ六世が平民の言語聴覚市のライオネル…
昼下がりの土曜日、とにかく暇で暇でしょうがなかった。五月雨に声をかけたら、暇つぶしに付き合ってくれる優しい会社の同期を二人確保することに成功した。集合は、有楽町は紅鹿舎。ピザトースト発症の店として有名な喫茶店である。 ボーっとしていてこちら…
「ABCクッキング行きましょう」 某後輩女子MからLINEがきた。なんでも料理体験はたったの500円らしい。誘われたら、韓国のスラム街にでも行ってしまう人間である私は二つ返事で了解した。 「行こう」 そうして、GW最後の日、25歳独身男性の私は、丸の内のク…
どこかに出かける時、あまり明確に予定を立てない。二年ほど前タイに行った時も、泊まっていたゲストハウスの部屋にこもりガンガンにクーラーをかけて、二日間ご飯を食べる時を除いては外出することもなく、ベッドに転がり、きっと昔、旅行者に置き捨てられ…
半年ほど前から買おう買おうと思っていた腕時計をついに買った。オーデマピゲを買おうとして高すぎて断念し、もうセイコーでもカシオでも何でもいいかと思っていた矢先であった。 ででん ソ連の頭文字、浮き上がる金色のCCCP!!Союз Советских Социалистиче…
休みがほしいけれど、休みを手に入れたら、結局何をするでもない時間を持て余すばかり。天気が悪ければ、不毛な休日を過ごした言い訳を持つことは容易である。雨が降ってたかったらね、と。しかし、よりにもよって天気がいい。雲一つない快晴なのだ。 彼女に…
春の神田川は最高である。あえて説明するまでもないだろう。 「トランプで 神経衰弱 してる国」 アメリカは一体どうなるのでしょう。 「立て看に シュプレヒコール 自己否定」 時代を感じる… おじいちゃんは桜を見て学生運動を思うのだろうか…… 「バリ封で …
金曜日、花見をした。江戸川公園にて、小雨にかすむ満開の桜の下を歩いた。 土曜日、花見をした。宴会にさざめく人々を縫うようにして隅田川のほとりを歩いた。 日曜日、花見をした。アリの行列のように続いていく人ごみに紛れて目黒川の桜並木を歩いた。 無…
私は25歳の男性である。にもかかわらずユーミンこと松任谷由実が大好きである。性別も年代も間違えているのではないかと思われるが、何はともあれ、ユーミンが好きなのである。ユーミンといえば、「ルージュの伝言」と「やさしさに包まれたなら」と「春よ、…
屈強な20代男子たる我々は、並々のカルビでは満足できずに、一路、冷麺を食すため歩き出した。バスを乗り継ぎ、歩くこと数分、ホンデの「ヨッサムネンミョン」という地元の女子高生たちに人気らしいお店に入ることになった。 www.seoulnavi.com これがなかな…
これのつづき kikuchidesu.hatenablog.com 無事、宿の前で友人二人と合流する。寒いけれどさわやかなよい天気であった。友人二人は深夜一時の便で羽田を発つはずが、ピーチアビエーションが出発時間を2時間遅らせるという最悪の順延を行い、3時に飛行機に乗…
労働者になってしまい、週末にしか遠くに出かけることができなくなってしまった。円環の理のような現実をとにかくにも逃避すべく、金曜日に模範的労働者の権利であるところの有給休暇の取得を行使し、脱兎のようなスピードで19時成田発のイースタージェット…
インターホンを押す。しばらくすると、ドアが開いた。生暖かい空気が流れ出てきた。迎え入れてくれた男の名は中西といった。ニ年ほどの付き合いになる友人だ。トレードマークのくたびれた黄色いチェックのジャージ。驚嘆すべきはずの奇っ怪な彼の服装にも、…
暖冬なんていいながらも、さすがに1月ともなればなかなか寒い。体調もあまり良くなかったこともあって、一日中ふとんに包まっていた。 思いかえすと、ちょうど一年前も、おなじように布団に包まっていた。大学を9月に卒業したせいで、就職するまでの間、本当…