- 沖縄のみそ汁から旅は始まる
- もそもそ界の王、サータアンダギーをかじる
- やはりチャンプルーが食べたい。イカチャンプルーである。
- 新たなるグスクへ。拳銃をもつ北野武が脳をよぎる。
- 沖縄の市場界隈へ
- コーヒースタンド小嶺の冷やしレモン
- 沖縄のちゃんぽんはやさしい炒め物
- 泡盛のバーで泡盛が好きになる
- 真夜中のしめのステーキ屋、にんにくマシマシ
- 喫茶店のグァバジュースを飲む
- 沖縄そばを食べなくてはならない
- アーケードの中の古本屋ウララで市場界隈を買う
- キングタコスの野菜山盛りタコライスがすごい
- イギリス人と泡盛の津嘉山蒸留所を見学する
- 今帰仁グスクへ
- ルートビアというサロンパスドリンクを飲む
- 中身汁でさようなら
沖縄のみそ汁から旅は始まる
なんでこう、朝になったらまったく規則的に腹が減ってしまうんだろうと思う。人間はおろかなので自分のことは自分でコントロールできていると感じてしまうのだけど、実際は、自分の意思でコントロールできることというのはとても少ない。心臓は勝手に動いているし、呼吸だってほとんど無意識だ。全自動で人間は空腹を抱えてしまう。胃が暖かなエネルギーを欲しているのを感じる。僕はまるたまという沖縄のみそ汁メーカーがやっているみそ汁専門店のカウンターでじっと待っていた。みそ汁がやってきた。沖縄のみそ汁はすごい。汁ものというかちょっとした一人鍋のような大きさなのである。

箸ですっと味噌汁をまぜるとごろっとした豚が沈んでいた。豚汁というよりやはりちょっと鍋のようだ。汁を飲む。塩気が強めだ。浮いているしめじをかじる。豚肉はとろっとしたコクを感じさせた。米を食べて味噌汁を飲み、胃は満たされた。
もそもそ界の王、サータアンダギーをかじる
ということで、僕は夏休みを秋にとり、沖縄にやってきた。泡盛が飲みたい、そして、美味いものをたくさん食べたいというのが端的な目的である。単純かつ明快である!沖縄にはじつにさまざまな料理が存在しているので、手当たり次第になんでも食べていきたい。

とはいえ、食べてばかりもいられないので、もうひとつの目的としてグスクを見に行くことにした。グスクというのは沖縄の城塞の遺跡で、各地に、何百か所も存在しているらしい。沖縄には何回か来ていて、首里城を見たり、海に行ったりはしたことがあるので、今回はグスクを見てみたいなと思ったのだ。
夏の名残のような光。

まずはグスクに行くために車に乗り込まなくてはならない。いつものタイムズカーシェアを使う。駐車場に向かってアーケードを歩いていく。

途中で、お菓子屋さんがあったので、サーターアンダギーを買った。黒糖味を買った。サーターアンダギーというのはもそもそしている。しかしおいしい。もそもそ界の食べ物の中ではかなり上位のおいしさである気がする。

アーケードを抜け、細い道を歩いていくと、井戸があった。牧志ヌカーとかいてある。カーというのが井戸とか湧水を意味しているらしい。沖縄では水が信仰の対象なのだそうだ。手作り感がありちょっとかわいらしい感じである。沖縄をぐるぐると回っていると、ほかにもいくつかカーを見つけることができた。

車に乗り込んだ。グスクはかなりたくさんあるようなので、なかなかどこに行こうか決めるのが難しかった。明日は北のほうに行こうと思っていたので、南方面であるとよいなと思い、ネットで調べてみると、糸数グスクが規模として大きく、石垣がきれいに残っているようだったので目的地としてみることにした。
車を30分ほど走らせた。日差しが強くて、運転していると手が日の光にさらされてひりひりした。建物が密集していて、那覇というのは都会だなあと思う。糸数グスクと思わしきエリアに到着した。いくつか行き方があるようなのだけど、どうも裏側から入ってしまったようだ。車を停めて、歩くことにした。木が風に揺られて葉擦れの音が響いている。ハブが出てこないことを祈って進んでいった。

ちょっとした林を抜けると、大きな石垣が現れた。なかなかの迫力である。石は風雨にさらされて一部崩れたりしているものの、高い精度でくみ上げられているのがわかる。部分的に手すりがあったり、多少整備はされているものの、あまり観光地!という感じになっていないのがいいなと思う。

自分以外には誰もいなかった。というより、鳥もないければ陸上の生物もいないので、どことなく異空間に飛んできてしまったような気がした。那覇の中心地にはたくさん観光客がいたけれど、こんなに立派なのに、ぜんぜん人が来ないのだなあ。沖縄は見るところがあまりにもたくさんあるものなあと思った。

階段があったので昇ってみた。石垣がぐんと伸びている。雄大な景色を見て、日本で500年後に残る現代の建築物って何なのだろうと思ったりする。多くのビルは残っていないだろう。ダムとかは残っているのかな。

沖縄の街並みが見えた。

やはりチャンプルーが食べたい。イカチャンプルーである。
グスクを後にした。あまりがやがやしているところでなく、海の近くの食堂とか、過ぎ去りし夏に思いをいたしたりしつつ、うつろう波間を眺めながらふうとひといきつくなどというのはちょっといい感じではないだろうかと思った。食堂とGoogleマップに入れて検索してみると、まさにそんな午後の豊饒なけだるさを思わせる食堂をみつけてしまった。南国食堂というらしい。店名まですばらしい。
雄樋川の河口付近にあるようだ。

車を停めた。地元の人たちの車がいくつか並んでいた。

問題が発生した。どのメニューもうまそうなのである。沖縄に来たからにはふつうに沖縄そばは食べたい。しかし、こういう店でポークたまご定食を食べるというのもまた渋いではないか。うーむ、そしてみそ汁定食もある。ここでは王道でいくという手とあえてのコースで行くという手がある。どうすればいいのだ!僕は、メニューをじっと睨み、沈思黙考した。
キッチンから配膳のためにおっちゃんが出てきた。その手にはイカチャンプルーがあった。湯気がゆらりとたちのぼり、塩気を帯びたイカの香りがした。そのシーンはスローモーションに見えた。僕の体はたちまちイカチャンプルーにからめとられてしまった。
ということでイカチャンプルーが僕のもとにもやってきた。

海辺の食堂でご飯を食べたい!の完璧な正解をつかんでしまった気がする。イカは赤く色づいている。野菜の甘味にイカの良い風味、味付けは醤油のシンプルな感じなのだけど、なんとも簡単に家で作れそうで意外と難しそうなそんな味がした。美味しいねえ美味しいねえと心でつぶやきながら無心で食べた。

新たなるグスクへ。拳銃をもつ北野武が脳をよぎる。
せーふぁうたきを歩き、大変神聖な気持ちになった。僕は車に乗り込み。次はどこへ行こうかと思案した。せっかくだから沖縄の最南端へ行きたいなと思った。調べてみると沖縄の最南端才の近くには具志川グスクという遺跡があるようだったので、そこへ行ってみようと思った。
車をしばらく走らせる。沖縄のこうした何でもない道を走っていると映画ソナチネを思い出す。何事もない美しい平穏な道なのだけど、北野武が突然現れて、拳銃を持って頭を突然パンと打ち抜いてしまいそうな、そんな不穏な気持ちになった。北野武はもう老人だ。今、北野武はあの若き日の死のイメージをどう振り返るのだろうと思う。

具志川グスクの入り口の辺りに着いた。ここからは歩いていかなくてはならないらしい。

細い道を歩いて行くと石垣が高く積み上げられているのが見えた。その先には輝く海が見え、水平線は太陽光で霞んで見えた。グスクには井戸のような穴があった。そこから断崖の下にくだっていけるようだった。下には何があるのだろう。僕はそこをどうにか下っていきたいなと思ったのだけど、立ち入り禁止と書いてあり入れないように柵がしてあった。

仕方ないので海を眺めた。ここに拠点を持ったのはどのような人だったのだろう。きっと大きな権力を持っていたのだろう。波は絶え間なく、陸地へと向かってきて白いしぶきを立てていた。

帰りにちょっとした商店によってアイスを食べた。秋なのに凄まじい日差しで甘いシークワーサーの味が体に染み渡った。


沖縄の市場界隈へ
南側のエリアをぐるっと回って那覇の中心地へ帰ってきた。車は返却をした。喫茶店で休みたいなという気分だったので、近くに喫茶店がないかを探してみた。

めちゃくちゃ渋そうな喫茶店が商店街の2階にあるのを見つけた。看板を見るだけで大変な歴史を経てきたことがわかる。

僕は階段を恐る恐る登った側面が群青色に塗られていて、外の喧騒と確実されたような気配を感じた。

ドアを開けると空気が変わった。むわっとタバコの匂いがした。若い男性が一人、本を読みながらタバコを吸っているようだ。奥からおばあさんが出てきてどこでもいいですよと言ったので、手前側の席に座ることにした。

アイスコーヒーを飲む。何時間も運転していたので冷たさが心地いい。

静かにコーヒーを飲んでいた。脇の机に本が積まれているのを見つけた。沖縄の本のようだ、その市場界隈という本を手に取って、ペラペラとページを巡った。この商店街のエリアの店のいくつかがインタビューされているようだ。人々の生活が匂い立つ文章に、しばし、僕は読み耽けってしまった

本の中にコーヒースタンド小峰という店があるのを見つけた。冷やしレモンという飲み物を出しているらしいこの辺りの市場の人たちに愛されている飲み物のようだ。すぐ近くにあるようだったので、僕はとりあえずそこに行ってみることにした。
コーヒースタンド小嶺の冷やしレモン
コーヒースタンド小嶺は牧志公設市場という市場の中にあるらしい。この公設市場は最近建て替えられたようだ。コーヒースタンド小嶺については、当初の看板などを引き継いで営業を続けているようである。
カウンター越しに店主が小さな果実を絞っているのが見えた。僕はカウンターの前まで行ってすみません。と声をかけてみた。

店主はかなり高齢のようだった。店主は作業の手を止めて何にしますか?と僕に聞いてくれた。やはりここはコーヒーよりも名物と思われる、冷やしレモンを飲んでみたいなと思った。冷やしレモンをくださいと言うと砂糖はいりますか?というので少し入れてくださいとお願いをした。
かっこいい機械で果実を潰していた。聞いてみると、それはシークワーサーのようだ。シークワーサーはもう少し大きいのかなと思っていたので、意外な大きさだった。絞る姿があまりにもかっこいいので、写真撮ってもいいですか?と聞くと全然いいですよ、とのことで1枚写真を撮らせていただいた。

1日何個ぐらい潰すんですか?と聞いたらどれぐらいだろうね。暇があればずっと潰してるねえと答えた。
店主はゆっくりしていってねと言ってくれた。とても優しい言葉遣いだった。

冷やしレモンを飲んだ。皮ごと一気に潰しているので、皮のニュアンスが出ているなと思った。さっぱりしていて美味しい。シンプルだけど、これでずっと。何年も市場の人たちに愛されてきたのだから、それはとてつもないことだなと思った。ゆっくりと冷やしレモンを味わった。

沖縄のちゃんぽんはやさしい炒め物
一度チェックインをするためにホテルへ向かった。荷物を降ろし、少しゆっくりしているとたちまち日が暮れていた。あたりを散歩しながら、夕飯を食べるところを見つけることにした。
かおりという食堂があったので、入ってみることにした。

ちゃんぽんというメニューを頼んだ。沖縄におけるちゃんぽんは、野菜やポークを炒めて卵とじをしたようなメニューのようだ。ご飯の上にその卵とじをかけてある。温かな日常ご飯だ。体に力がわいてくるような気がした。

泡盛のバーで泡盛が好きになる
ちゃんぽんを食べ、腹は満たされた。僕は機嫌よく那覇の街をぐるぐると散歩した。せっかくなので、やはり泡盛が飲みたいなと思った。とはいえ、もうご飯は食べているのでいいなと思ったので泡盛が飲めるバーがあると良いなと思った。

泊まっているホテルの近くにBar Tasting Clubという泡盛専門のバーがあるようだったので、そこに行ってみることにした。

僕ははっきり言って、泡盛のことはほとんど何も知らなかったので、すみません、泡盛は全然わからないんですが、と言うとマスターはそういう人ばかりだから全然大丈夫ですよと言ってくれた。
どうしますか?と聞かれたのだが、何を飲めばいいのか全くわからなかったので、席の目の前にあったかめを指さしてみた。
マスターはおお、渋いところにいきますねと言って、かめから泡盛を出してくれた
別の亀からも泡盛を入れてくれて、こちらは少し香りが違うんですよと言って出してくれた。ツルンとした舌触りで、コクがあって、少しだしのような感覚を覚えるような味わいだった。とても美味しい。

さあ目の前のかめの泡盛は飲んでしまった。次、どう注文をすればいいのかわからなかった。目の前にかっこいいおちょこがあったので、これで何かを飲みたいですと言うと、「おお、いいですね。この酒器かっこいいですよね」と言ってマスターは準備をしてくれた。

その酒器は当真裕爾さんというかたのもので、近年は村上隆によって買い付けられて市場になかなか出回ってこないのだとマスターは教えてくれた。僕はかっこいいなと思いながら、その小さな小さなおちょこに泡盛を継いだ。
名護にある蒸留所が造っている泡盛のようだ。僕はその國華という泡盛がとても美味しく大変な感動をしてしまった。マスターにその蒸留所について聞くと、アメリカにより接収されていた経緯があるらしく、古い沖縄の建築様式が残っている。そして、蒸留所の中を見学させてくれて行ってみると楽しいですよ、とのことだったので、僕は明日その泡盛の蒸留所に行ってみることにした。

マスターは沖縄グルメマスターだったようで、僕に様々な店を教えてくれた。夜、沖縄の人たちにしめとして愛されているステーキの店があるとのことだ。マスターの話ぶりがあまりにも美味しそうだったので、僕はもうそこに行く以外の手はないだろうと思い、泡盛のバーに跡を告げ、ステーキ店へ向かうことにした。
真夜中のしめのステーキ屋、にんにくマシマシ
僕はバーを出てステーキ屋へ向かうことにした。牛屋というらしい。沖縄の人たちの間では有名な店のようだ。
0時を少し過ぎた。沖縄の町を歩く。夜になっても変わらずに賑やかだ。ステーキ屋は倉庫の奥のようなところにあった。

やっているのかなと覗くと店主が1人で鉄板を洗っていた。まだ大丈夫ですか?と聞くと「はい、大丈夫です」とのことだったので、僕はカウンターの席に座った。ライス付きのセットも大変魅力的だったのだけど、もう夜中だしなと思ってステーキだけにすることにした。

シャーっと鉄板が音を立てている。肉が焼ける匂いがする。煙が立ち上がる。これはいい夜だなと僕は思った。
ステーキは細かくカットされ、僕の目の前に置かれた脇にはきゅうりがついていた。タレはニンニク醤油ダレのようだ。ステーキを取り、タレにつけるにんにくがツンと香る。美味しい。夜にこんなものでしめるなんて、沖縄の人たちはめちゃくちゃ強いなと思った。つけあわせのきゅうりが清涼感を感じさせとても良かった。

喫茶店のグァバジュースを飲む
真夜中にステーキを食べたのだけど、意外と胃にもたれずに済んだ。いい肉だったのかもしれない。30歳を超えてからはあまりにも油が強いと胃がもたれるようになってしまった。歳を取るというのは悲しいことである。
朝、ホテル近くの喫茶店に行くことにした。やはりここは南の地であり、コーヒーというよりもグァバジュースを飲んだ方がいい気がして、グァバジュースを注文してみることにした。


グァバジュースは甘酸っぱくてカッと目が覚めた。

沖縄そばを食べなくてはならない
そういえば、まだ沖縄に来て沖縄そばを食べていない。これは由々しき事態である。僕は美味しそうな沖縄そばの店がないか探すことにした。アーケードの脇道に入った先に、暗がりの中、黄色く光るソーキそばの文字を見つけた。Google マップを見るとちょっと前調べた時に行きたいなと思ってピンを立てていた店だった。なんか佇まいが良さそうだったので、僕はそこに入ることにした。

ソーキそばを注文した。隣の人が食べているのを見ると結構サイズが大きそうだったので小にしてみた。おばちゃんが1人でやっている店のようだ。しばらくするとソーキそばがやってきた。とてつもない迫力のソーキかどんどん器に乗っていた。岩のようである。スープをすすった。良い香りがして、塩気が心地よく下になじんだ。ソーキの食べ応えは凄まじかった。小にしたのにややお腹がパンパンになってしまったが、なかなか良いお店だった。

アーケードの中の古本屋ウララで市場界隈を買う
そばを食べ、アーケードを散歩しているとウララという古本屋を見つけた。沖縄の本が多く取り扱われているらしい。沖縄の料理の本がいろいろ並んでおり、とても面白そうだった。昨日、喫茶店で見た市場界隈があったので、僕はその本を購入することにした。
とてもいい表紙だ。

キングタコスの野菜山盛りタコライスがすごい
今日は沖縄の北部の方へ向かおうと思っていた。また同じように車を借りて北に向かって走っていく。沖縄というのは縦に長いので、北へ向かうのはなかなか時間がかかる。昼に近づいて、僕は昨日マスターが教えてくれた沖縄のローカルタコスチェーン店キングタコスに行ってみることにした。マスターはここが沖縄のタコライスでは一番うまいのではないかと言っていた。

車を停めて店に入った。キングタコス略してキンタコ(と言うらしい)は基本的には持ち帰りがメインの店のようだ。店に入ると何人もの人がすでに並んでいた。人気店なのだなと思いながら注文をした。タコライスチーズ野菜というメニューがおすすめと聞いたので、言われた通りに注文してみた。呪文のようなメニュー名である。
しばらくするとキングタコスチーズ野菜がやってきた。パックに入っているのだが包めているのかについては諸説あると言わざるを得ない状態である。中で食べていってもいいということだったので、僕はカウンターにそのパンパンになったタコライスを置いて食べることにした

凄まじいインパクトである。ソースをかけ、野菜になじませタコライスを食べた。タコスとチーズは非常にいい仕事をしていて、混ぜながら食べると、こんなに野菜が乗っているのにむしろちょうどいい気がする。確かにこれはローカルチェーンであったらめちゃくちゃ嬉しいだろうなと思った。

イギリス人と泡盛の津嘉山蒸留所を見学する
目的地の1つであった名護に到着した。昨日飲んだ泡盛が大変美味しかったので、その津嘉山蒸留所へ向かうことにした。沖縄の古い建物の様式が残っていると聞いていたがたしかに均整のとれた美しい平屋である。僕は車を止め、その建物中に入っていった。

スタッフの人が「あれ、もしかして見学されますか?」と言った。はい、見学したいんですがと言うと「英語でガイドが始まっちゃってるんですがそこに合流でいいですか?」と言うので大丈夫ですと答えると、前の集団に入れてもらえることができた。途中からだったのと英語だったので、内容は半分ほどしかわからなかった……


米軍が宿舎として使ったりしていたらしい。

スタッフの人がテイスティングしていきますか?と言って泡盛を出してくれた。車で来てしまったのでと言うと「じゃあ香りだけでも」と言って泡盛を注いでくれた。イギリス人の女性はたいそう美味しそうに泡盛をテイスティングしていた。最近では外国人の方が来ることも多いようだ。

車を出そうと思い、駐車場へ向かった。スタッフの人はそこにあるのは銃痕なんですよと教えてくれた。壁には黒い跡が残っていた。

スマホで Twitter を見ていると鳥羽和久さんが近くで対談イベントをするとツイートされていた。沖縄に来られてるんだなとは思っていたのだけど調べてみると15分くらいの距離のようだ。この後グスクに行こうと思っていたのだが、その後の予定は特になかったので、僕は鳥羽一久さんの対談イベントに向かうことにした。ちょうど僕が旅の本を出したタイミングで鳥羽一久さんも旅の本を出していて気になって読んでみたのだけど、大変面白かったので話を聞いてみたいなと思っていたのだ。
今帰仁グスクへ
さらに北上を続けた最南端のグスクには行ったので、北部でもリスクを見たいと思っていた。今帰仁にあるグスクは大変有名であるらしく世界遺産として登録されているとのことだ。昨日のグスクとは違い今帰仁グスクはきちんと管理されているようで、チケットを購入しないといけないようだ。僕は営業終了時刻のギリギリに到着した。

チケットを購入しグスクの方へと歩いた。やはり世界遺産として管理されているだけあって大変綺麗である。石垣も崩れることなく残っている。天気がいいので、石垣はまさに壁としてくっきりとした印象を放っていた。

非常に荘厳である。琉球王国以前、沖縄の土地は三勢力が割拠していたそうだ。歴史の流れの中で政治的権力は首里に行き、今帰仁は徐々に祭祀の場へと変わっていったらしい。グスク内には祠などもあり、祭祀のありかわ思わせた。

対談がおこなわれる波羅蜜という施設にやってきた。僕は車を止め、イベントまでの間あたりを散歩することにした。近くに黒糖の工場があるらしい。辺りには甘い匂いが漂っていた日が暮れてきている。この淡いの中で、その匂いはとても妖艶なものに感じられた。

対談相手は10代の頃、馬に乗って沖縄を旅した記録を本にまとめたという西郡哩来さんだった。お互いに、旅は何かを求めて行動するのではない、目的のない自由さが大事だという話をしていた。また、鳥羽さんから、西郡さんは旅をする中で世界への手触りが変わってきたのではないかという話が出てきた。僕もそれなりにたくさん旅はしてきたが、自分の世界への手触りの感覚はどのように変化してきたのだろうと考えたりした。
ルートビアというサロンパスドリンクを飲む
車を返さなくてはいけないので、那覇へ戻る。途中、ルートビアを飲んでみたかったのでA&Wによった。めちゃくちゃアメリカンダイナーだ。

ルートビアは噂通りサロンパスの香りだった。なかなか美味しかった。

中身汁でさようなら
最終日昼過ぎの飛行機だったので、すぐ空港に向かう準備をした。

僕は玉置標本さんの書いた記事を読み(https://dailyportalz.jp/kiji/180702203291)、中身汁を食べてみたいなとずっと思っていたので、前日夜に、空港までの間に飲める店がないかを探していた。すると、モノレールの途中駅で朝から中身汁を出している店を見つけた。
パーラー桑江というらしい。アパートとアパートの隙間でカートを出して営業しているようだ。

おばちゃんが1人ご飯を食べていた。僕を見ると「ここ使います?そろそろ行きましょうね」と言って僕に席を譲ってくれた。
中身汁(コメントでの指摘の通り、これは麺が入っているので中身そばでした!)を注文した。日差しは突き刺すように照りつけていた。暑い。秋なんていうのは字面だかのものだ。中身汁(そば)を飲んだ。ホルモンのうまみがそばとよく合っていた。コンニャクも入っていて、ちょっとけんちん汁のような感じもする。ずずっとスープを飲んだ。体の中にどっと熱が落ちていった。ただでさえ暑いこの気温の中、汗がぽとぽととほおを伝うのだった。

旅行記が本になりました!国内外いろいろなところに行った話がまとまっております!よろしくお願いします!!
