今夜はいやほい

きゃりーぱみゅぱみゅの「原宿いやほい」のいやほいとは何か考察するブログ

休日、神奈川の沖縄タウン 鶴見を歩く。沖縄スタイルみそ汁を飲み、市民酒場へ

休日、暇を持て余していた。

 

暇だ。

 

そうだ、鶴見行こう、と思い立った。埼玉県民である僕は、軽く出かけたいなという時は神奈川が候補に上がりがちだ。横浜は時々行くので、気分を変えて、鶴見に行ってみることにした。鶴見は沖縄タウンで有名らしいのだが、通り過ぎることはあっても、意識的に街を歩いたことがないなと思ったのだ。

 

かたこと京浜急行で鶴見に向かう。せっかくなので、沖縄そばを食べたいなと思い、電車の中で店を探した。

 

鶴見市場駅でおり、金城という店に向かうことにした。沖縄料理屋は夜だけやっている居酒屋系が多くようで、昼でも沖縄そばを出している店は意外とたくさんあるという感じでもないようだった。

 

沖縄料理 金城

 

よし、沖縄そば食べるぞと思い、壁にかけられたメニューを眺めた。みそ汁があるではないか......沖縄ではみそ汁がおかず性の高い食べ物として存在し、定食メニューに入っていたりするのだ。みそ汁か、みそ汁なあと心で反復し、僕は、当初の目的をわきに置き、みそ汁を注文した。

 

 

店は親戚の家にでも来たかのような落ち着き感があった。お客さんが二人いたのだけど、どちらも昼から、ビールを片手に、こてこてのウチナーグチを話していた。店主もやはりウチナーグチで、濃厚な沖縄の世界が広がっていた。

 

僕は、やや肩身せまく、みそ汁を待った。

 

みそ汁が来た。

 

 

各具材が大きく、ゴツゴツしている。沖縄のみそ汁だ。大きな豚肉が転がっていて、すすると野菜の甘味が感じられる。まあ、みそ汁はみそ汁なので、ものすごく、特別にうまいというものでもないけれど、ほっとする味だ。

 

 

昼間のテレビを見ながらみそ汁をすすった。卵が下に潜んでいた。土井善晴が一汁一菜でいいというフレーズで一躍有名になったが、確かにこれだけ具沢山であれば、なかなかの満足度だ。食べ終えて、ゆっくり水を飲んで、店を出た。

 

沖縄そば食べてないな、と改めて思った。そもそも鶴見に沖縄そばを食べようと思っていたのだ。みそ汁と米だったので、もう少し食べられるな、でも沖縄そば食べるとお腹いっぱいかなあとゆれ動き、まあ、せっかく来たし、食べるか!とあらたな沖縄そばの店を探してみることにした。

 

鶴見を歩く。住宅街が広がっている。

 

ちらほらと沖縄に関連する店や施設が現れる。沖縄タウンなのだなあと思う。調べてみると、京浜工業地帯で職を得るため、沖縄から出稼ぎで多くの人がやってきていたことが理由らしい。

 

 

見つけた!中を覗くと客がおらず時間的に閉店の雰囲気が漂っていたが、店員さんに聞いてみると、まだ大丈夫とのことだった。

 

うちなーすばヤージ小 

 

座った瞬間に、沖縄そばを注文した。沖縄そばはすぐにやってきた。

 

 

スープがドロッと白濁していた。とんこつラーメンのスープに少し近い味付けだ。こんなにトロトロなものもあるのかと、ネットで調べてみると、沖縄そばは鰹出汁と、豚骨出汁を混ぜてあり、鰹出汁をメインとするか、豚骨出汁をメインとするかによって、かなりスープに差が出るということらしい。

 

近年は鰹出汁が優勢で、豚骨は少なくなってきているらしい。沖縄そばにそんなバリエーションがあったとは知らなかった。僕のよく行く店は鰹出汁のものを出すので、てっきり今回も、さっぱり鰹出汁を予想して二軒目に来たのでややお腹的にキツかった。おろかでおる。

 

しかし、こってりはこってりで、ネギの香りが良いアクセントになりになかなか美味しい。沖縄そばについてのネット情報をいろいろ見ていると、スープだけでなく、麺についても、古典的な沖縄そばの麺と、中華麺系の麺で大きく蓋パターンの沖縄そばが存在しているらしいことが分かった。沖縄そばについて自分が全く知らなかったことに気がついた。

 

食べ終え、店を出た。2軒沖縄系に行ったので、すっかり沖縄気分だったのだけど、店の外は神奈川は鶴見であった。

 

駅の方に向かって行くかと歩いていると、鶴見は銭湯がすごいのだ!というポスターを見かけた。百メートルほど歩くと、また銭湯ポスターが現れた。調べてみると、たしかに鶴見には銭湯が多いらしい。せっかくだし、入ってみることにした。

 

鶴見川を眺める。静かで穏やかないい川だ。

 

京急鶴見駅前はなかなかごちゃごちゃした感じだ。目的の銭湯は一駅先のようだった。

 

 

少し休憩するかと喫茶店に入った。

 

珈琲専門店 山百合

 

昼ご飯をはしごしたにも関わらず、ティラミスを頼んでしまった。完全に余計な注文であった。おろかだ…… 

 

 

ビィールがいい味を出している

 

 

茶店から一駅歩く。閑静な町並みが続く。子供らが駆け回っている。

 

朝日湯についた。なかなかいい感じだ。

 

真っ黒な黒湯だ。10センチほど沈めるだけで手が見えなくなってしまうくらいに真っ黒だ。熱すぎず、ぬるすぎずちょうどよい。

 

よく温まった。風が心地よい。

 

現在の位置を把握するため、Googleマップを見る。以前行ってみたいなと思ってピン留めしておいた居酒屋が隣駅にあることがわかった。また、一駅歩く。陽が傾いてくる。国道沿いを歩いているので車がビュンビュン通り過ぎていく。少し前を韓国人のカップルが歩いている。特徴もないどこにでも有るような道が続いていく。

 

新子安駅についた。目的の居酒屋、諸星がのれんを掲げていた。店構えだけでなぜか美味そうな雰囲気がある。のれんの位置、フォント、文字の間隔、赤いビール。

 

 

年季が入った長いテーブルが店の奥まで伸びている。壁にはメニューがおびただしく貼り付けられている。居酒屋のイデアのような店だ。

 

眼の前にバイスサワー!!と書いてあったので、何も考えずにバイスサワーをたのむ。

 

 

冷静になると、冬の飲み物ではない気がするがまあよい。隣の人が頼んでいたもつ煮がうまそうであることを確認し、もつ煮を注文する。

 

もつがやわらかい。一つ一つが酒を飲むのに適切な大きさになっていて。一切れつまみ、酒を飲み、一切れつまみ酒を飲む。素晴らしい!そして、やはり初手バイスサワーは少しミスった感があるなと思った。

 

 

ちびちびもつ煮を食べていたところ、今度は左に座るお客さんが、シャコを注文した。かーっうまい!という表情をして、日本酒を飲み、あっという間にシャコを食べてしまった。

 

お客さんは再び手をあげて、「シャコ追加で」と言った。そんなにうまいのか?と思いながらバイスサワーを飲んでいるとお客さんは「今日は、どこ産のシャコなの」とスタッフに聞いていた。

 

「今日のは岡山産ですよ」

 

「岡山なの、それはいいね、うれしいね」と言って、それはもう本当に嬉しそうな顔をしていた。

 

「シャコは昔からのお客さんに人気なんですよ」とスタッフは言って去っていった。

 

新たにシャコが来ると、もうたまらんという表情で食べるので、僕は、頭がすっかりシャコに乗っ取られてしまい、みずからもシャコを注文してみることにした。

 

見た目はエビのような感じである。

 

 

ワサビを少しとり、シャコにつけ、醤油に軽く浸して食べてみる。よい旨味が口に広がる。品のある甘味もあって、大変おいしい。僕は、え、シャコってこんなおいしかったっけとしみじみ感動しながら、酒を飲んだ。

 

これはうまい!と静かに味わっていると、隣のお客さんが「すみません」と話しかけてきた。

 

「はい」

 

「話しかけてもいいですか」

 

「はい、なんでしょう」

 

「シャコ、おいしいですよね」

 

「おいしいですね、注文されているのを見て、おいしそうだったので、真似してしまいました」

 

「この子安の辺りは昔はシャコがよく獲れるので有名で、私が小さい頃なんて、海の方に行くと、シャコの殻をむいている人がその辺にいたりしたんですよ。最近は取れなくなってしまったんですが、今日は国産のシャコが入ってるっていうんでうれしくてね」

 

「そうなんですね、昔、中華料理屋で食べたことはあったんですが、久しぶりに食べました。シャコってむくのも結構難しいですよね」

 

「そう、これむくのも技術が必要なんですよ。その技術が残っているということですね」

 

「子安の辺りの居酒屋ではよく出てくるんですか?」

 

「いや、私が知っている限りではこの諸星だけですね。ここ市民酒場ってあるでしょ。この辺に三箇所くらいあって、戦時中の統制を機に出来たものなんですよ」

 

市民酒場というのは、かなり長い歴史を持つもののようだ。

市民酒場 - Wikipedia

 

僕は、引き続きあたりに耳をすまし、他の人が注文していたバリキングを頼んだ。

 

「よく来られるんですか」

 

「時々ですね。生まれはこの辺なんですが、大阪で働いていたので最近戻ってきたんですよ」と言っておっちゃんは日本酒をこくこくと飲んだ。

 

「この隣、生麦っていう地域あるでしょ、発音が昔とちがうんですよ、同窓会とかすると盛り上がるんですよ。何だあの発音って」

 

その客のさらに奥に座っていた客が「まあ、この辺は、もう、昔から住んでいるいる人より、移り住んできた人のほうが多いですからね、しかたないんですよ」と言った。

 

二人の会話が盛り上がってきたので、僕はおいとますることにした。いい居酒屋というの場の雰囲気が何よりも重要である。うるさすぎず、静かすぎず、こうやって知らない人たちが付かず離れずかりそめに話をしたりして、虚空を見つめたり、テレビの音に耳を傾けたりする。一朝一夕では生まれないものだ。

 

酔いすぎないうちにさっと帰ろう。