今夜はいやほい

きゃりーぱみゅぱみゅの「原宿いやほい」のいやほいとは何か考察するブログ

神奈川にはベトナムがある。高座渋谷のタンハーでベトナム料理を食べる。

近年、埼玉県の川口のチャイナタウン化が著しいというのは、わりとよく聞くところだ。神奈川にはチャイナタウンの始祖とでもいうべき、横浜中華街があるわけだが、なんでも神奈川には、ベトナム人が多く住む地区というのもあるらしく、そこで、いいかんじのローカル感に溢れるベトナム料理が食べられるということを聞きつけた。海外旅行にも行けなくなってしまったので、身近な外国に行ってみることにした。

 

高座渋谷駅から徒歩10分、いちょう団地にベトナム人が多く住んでいるらしい。よくある、高度成長期に団地いっぱい作ったけど、若者が減って住む人がいなくなってしまったパターンだろうか。

 

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早速、アジアを感じるスーパーのポスターが貼ってあった。

 

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アジア食品シーワント。ほおの絶妙な釣り上がり具合が不気味である。ぱっと見ではこのポスターはマリモ洋品店のものであるかのように見えるので、異様さが際立っている。

 

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歩いていると確かに、若い人は東南アジア系の人が多い。そして老人は日本人である。看板も多国籍化が極まっており、何語なのかわからない言語まで注意書きとして載っている。摩托、素で読めば、またく、ああモーターかと学部の教養過程一年で培った貧弱な中国語力で考える。

 

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お目当ての店、タンハーにやってきた。スーパーと食堂が併設されているらしい。赤い営業中の旗がはらはらと揺れている。

 

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入ってみるかとドアの前まで行ったものの、そこから見えるのがあまりにも”ベトナム”なので、少しビビって立ち止まってしまった。厨房のほうからはベトナム料理が香り、店員さんもベトナム人で、商品もの全てがベトナムっぽいのだ。めっちゃ日本人なのだが入っても良いのだろうかなどと5秒ほどドアの前で静止した末、行くか……と足を踏み入れた。

 

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昼過ぎの遅い時間だったので、店は空いていた。レジの前で楽しそうにおしゃべりをしているベトナムのおばちゃんたちが「はいいらっしゃい〜」と明るく迎えてくれた。適当に席につくと、店員さんが、メニューを持って来てくれた。机の脇には、みたことのないお菓子が積み上げられていた。

 

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ぶあつい…… タンハーはベトナム料理のメニューがめちゃくちゃ豊富なのである。

 

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聞いたこともない品がびっしりと並んでいる。説明書きがあるのでありがたい。

 

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人間は選択肢が多すぎると、選択に多大な困難がともなうものである。何にすれば良いのかわからなくなり、わざわざ遠路はるばるやってきたのに、大道中の大道、牛肉のフォーを頼むことにした。まあ、一回目は大道でせめて、また来る時に、他のものを食べてみることにしようと思った。

 

ベトナムの笠、ノンラーも売っていた。ベトナムのものならなんでも売っているといっても過言じゃないかもしれない。それにしても見渡す限り、あらゆるものが異国のものである。

 

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座ってフォーを待っていると、ちらほらと高齢のおじいちゃんが店に入って来て、ほい、じゃあ、いつものをといった感じで、タバコを買って帰っていった。意外と現地の元々住んでいる日本人の人もくるのだろうか。小さなベトナムの男の子も入って来て、僕の隣で、同じようにフォーを注文していた。

 

しばらくすると、フォーが来た。湯気が立ち上って、パクチーナンプラーの良い香りがした。

 

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麺ももちもちだ。さっぱりした味付けのなかに時々現れる牛肉が汁を吸っていておいしい。スープの味がほどよくガブガブと飲んでしまう。フォーというのは休日の昼にたべるのに適しているなあと思う。

 

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途中で、唐辛子を入れる。ツンとしていい。ところがしかし、僕にとってフォーというのはライムを絞ることで完成する食べ物なのだ。ライムの香り、酸味、甘味がスープに混ざり合うことで、より深みが出てフォーは完成を見るのである。

 

残念なことにタンハーにはライムがない。なんとも残念だ。現地感あふれるこの店で、フォーにライムがないとはなんたることか!などと言おうものなら、俺たちがローカルだぞ!おかしな日本人が現れたなとしか思われないことは火を見るより明らかなので、しかたなくライムは諦める。

 

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片手間に、wikipediaでフォーについて調べていたら、フォーというのはベトナムでは外食中心の料理であるらしく、「フォーを食べる」という言葉は、ベトナムでは不倫をすることの隠語になっているらしい......

 

日本ではなんだろうか、外で食べるもの牛丼か?牛丼といえばあまり、家でつくらないものなあ。あいつ牛丼食べてるんだって(不倫してるんだって)なんともしまらない感じがする。

 

壁にNEW MENUが書かれたホワイトボードがかけてあった。

 

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注意書きを読んでいると「貝の種類が違います。説明が出来ません」と書いてあって笑ってしまった。まあ、そりゃ難しいよなと思う。僕も、突然、赤貝とホッキとつぶ貝の違いを説明せよ外国人から問い詰められても、答えられる自信がない。

 

マッドクラブタンドリ炒めというのはなんだかよくわからないけれど美味しそうだな……今度は何人か出来ていろいろ食べたい。

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デザートにチェーを頼んだ。これがめちゃくちゃおいしかった。ココナッツミルクのなかに、もち米とナッツを荒く潰したかんじのものが浮かんでいる。ミルキーなぜんざいのような感じである。タピオカの次はチェーに違いない…と思いながらスプーンでひとすくいひとすくいかみ締めて食べた。

 

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帰り道に、バインミーサンドイッチ屋があった。お腹いっぱいだったのだけど、つい買ってしまった。

 

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正式には、バインミ・ティというらしい。

 

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いつでもどこでもバインミー

 

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トースターで焼かれた香ばしいパンの匂い、香草の香り。挟まれているローストポークがプリプリでこれがとても美味しかった。野菜も新鮮で、シャキシャキとよい歯応えがあった。お腹いっぱいだったけれど、全然食べることができた。

 

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神奈川のベトナムは、美味しいもので満ちていた。タンハーで食べてみたいやつもたくさんあるので、また来なくてはならない。