ユーミンのストリーミングが解禁となった。
しかし…ユーミンを前に僕たちは立ち尽くすしかない。
膨大なアルバム数、名盤だらけ、どれから聞けばいいのか……
同世代の中では比較的ユーミンを聴いてきたものの宿命として、おすすめを書く！書くのだ！！！
まずは、荒井由実時代、言わずと知れた、ひこうき雲というアルバム。
１曲目がひこうき雲。もはや説明不要と思われる。2曲目の曇り空これが、実は大変な名曲なのである。
二階の窓を開け放したら霧が部屋まで流れてきそう
やさしい雨が降ってくるのをずっとぼんやり待っていたのよ
きのうは曇り空きっとそのせいかしら
詩的な冒頭。
きまぐれだって おこらないでね
本気で好きになりそうだから
約束だけは気にしてたけど
急にやぶってみたくなったのきのうは曇り空
きっとそのせいかしら
若いころのなんとなく、すべてがどうでもよくなってしまいそうなソリッドな感じがよくでていてすばらしい。音数も少なめだけど、世界観が浮き上がってくるような曲構成。このとき、ユーミン19歳だそうだ。ちなみに、録音していたメンバーは細野晴臣（ベース）松任谷正隆（キーボード）林立夫（ドラム）鈴木茂（ギター）。そうそうたるメンバーだ。みんな20代のころ。
5曲目、きっと言える。ユーミン2枚目のシングル。
南に向かう船のデッキで波を見つめてもしも夕陽がきれいだったら話しかけるわ
あなたが好き きっと言えるどんな場所で出会ったとしても
転調がかっこいい。こんな曲を10代でかいていたんだから衝撃的。
6曲目、ベルベットイースター
ベルベット・イースター 小雨の朝
光るしずく 窓にいっぱい
ベルベット・イースター
むかえに来て まだ眠いけどドアをたたいて空がとってもひくい 天使が降りて来そうなほど
いちばん好きな季節 いつもとちがう日曜日なの
「空がとってもひくい天使が降りて来そうなほど」このフレーズが素晴らしくて何回もきいてしまう。短調のピアノの不穏なイントロもとてもいい。何でもない日常描写なんだけど、少女のあいまいな心象風景が浮き出てくるような気がする。
8曲目、雨の街を
夜明けの雨はミルク色 静かな街に
ささやきながら 降りて来る 妖精たちよ
最小の歌いだしで、もうノックアウトだ。そっと、夜明けの雨はミルク色とくるのである。その繊細さたるや！天使が降りてきたかと思えば次は妖精。いろんなものが降りてきがちである。
夜明けの空はブドウ色 街のあかりを
ひとつひとつ消していく 魔法つかいよいつか眠い目をさまし こんな朝が来てたら
どこまでも遠いところへ 歩いてゆけそうよ
いいですね……いいですね…
まずい、この調子では無限に時間がかかってしまう。
セカンドアルバムMISSLIM。このアルバムも、名曲だらけ。
やさしさに包まれたならは名曲だけど有名すぎるので割愛。
ユーミンが歌詞がよくかけたといっていた一曲。
ソーダ水の中を 貨物船がとおる
小さなアワも恋のように消えていった
ここが有名。とてもしずかな曲。日曜午後とかにゆっくり聞きたい曲。
ルージュの伝言とかが好きな人はこの曲がおすすめ。ザ・ポップソング。
時はいつの日にも 親切な友達
過ぎてゆくきのうを 物語にかえる
だいすきな曲。
私のフランソワーズ
あなたは歌う 去りゆく青春を
静かに見つめながら
コード進行がとてもユーミンっぽい気がする。
荒井由実から松任谷由実になって初めて世に出たアルバム。名盤。ユーミンいわくもっとも地味な作品（ソースはWikipedia）たしかに、地味な曲が多いしかしそれがよい。
川向うの町から宵闇が来る
煙突も家並みも 切り絵になって
民族調の一曲。世界の滅亡の日に流れてそう。
ヒメジョオンに埋もれて くちづけをした
土手と空のあいだを風が渡った哀しいほど紅く
川面はゆれていたの
越していった日から 顔も忘れた哀しいほど紅く
心は燃えているの
思い出すそばから葬るくせに
顔も忘れて、思い出すそばから、葬っていくけれど、悲しいほど、川面も心も燃えているのである。紅く染まっていく光景、ゆれるヒメジョオン。
表題曲、紅雀
ぬけがらの体だけ砂に残し
この胸は波間へ旅立つ
暁にシュプールを描くように
もう一度 飛ばせてほしいの 高く 自由に
実は、ユーミンは、結婚を期に引退しようと思っていたこともあるらしく、もう一度、飛ばせてほしいのと自分を鼓舞しているような気がする一曲。
ボサノバ調の曲。かるく聞けていいかんじ。
悲しいほどお天気。ユーミン8枚目のアルバム。悲しいほどお天気とはよく言ったもので、明るくてほのかなしい曲が多い。
非常に有名な曲だけど、ジャコビニ彗星の日。ゆったりとした曲調。浮かんでくる光景が美しい。
シベリアからも見えなかったよと
よく朝弟が新聞ひろげつぶやく
淋しくなればまた来るかしら
光る尾をひく流星群
ユーミンは地名を出すのが好き。
むかし確かにどこかで出逢った一枚のネガ
淋しい心から きみを自由にする
かるく透き通らせてなんて不思議な なんて不思議な霧の夜なの
どこへ続くの 街路樹の影たち
影があるけどつややかな曲。
表題曲
上水ぞいの小径をときおり選んだ
夏の盛りの日もそこだけ涼しくって名もない蔦や柳がひくくたれこめて
絵を書く私達 それぞれひとりにさせた
まるで先の人生を暗示するようにみんなまだ
気づかずすごしていたんだわ
ずっといっしょに歩いてゆけるって
だれもが思った
いつまでも
私の心のギャラリーにある
あなたの描いた風景は
悲しいほどお天気
加藤千恵さんの「3人で傘もささずに歩いてるいつかばらけることを知ってる 」という短歌が好きなのだけど、ふと、唐突に、仲の良いひととの楽しいひと時に、別れや終わりの予兆を感じてしまうことがある。悲しいほどお天気とはよく言ったものだ。
一番好きなアルバムかもしれない。9枚目、時のないホテル。
一曲目、不良少女が愛を知るという歌。
忙しいパパと派手好きなママは
別の部屋でくらしている
今でも週末ねだりに行くけど
もう愛しかいらない
もうすぐ素直な娘におどろく
'Cause you say you want to marry me’
歌詞はちょっと漫画的だけど、 メロディーとよく合っていて、もう愛しかいらないのか！！という気にさせられる……
アルバムの表題曲。すばらしく、かっこいい曲。時のないホテル、
さっきお昼のカフェで話し
ろう下で見たレディは
かつらの色がガラリとちがう
こっそり開くパフにしこんだアンテナ
口紅から発信機の音彼らの写真は新聞を飾る
蜂の巣になり広場に死す
堅いニュースはすぐに忘れてゴシップだけが残る
回転ドアを少しまわせば外の空気が流れ込むけどあわててとめに来るよ 制服着たボーイが
世界のあちこち目には映らない激しい河がうず巻いてる
ここは置き去りの時のないホテル
20世紀を楽しむ場所
ネットの記事などを読むと、時のないホテルは日本のことととらえている人が多い。世界では、東西冷戦構造の元、いろんなことが目まぐるしく動いているけれど、日本は時のないホテル。1980年代のことでありました。
病気の名前は Myelogenous Leukemia
図書館のいすはひどく冷たく
Myelogenous Leukemiaはミエロジエーナス・ロイケミア。慢性骨髄性白血病のこと。サビにMyelogenous Leukemiaというなぞの言葉をつかって、にもかかわらず、ちゃんと全体の表現の強度を持たせている。すごい。
名曲。
たとえ異国の白い街でも
風がのどかなとなり町でも
私はたぶん同じ旅人
遠いイマージュ 水面におとす
バイオリンが切ない。名曲……名曲
16枚目…つかれてきた。かるくいくことにしよう…
ビリー・ジョエルの「アップタウン・ガール」のアンサーソングとした書かれた曲。
あなたは素敵な Down Town Boy
不良のふりしている
気まずいことがおこっても
私をあきらめないでね
勝気な瞳の Down Town Boy
未来を夢見ていた
どこかで恋をしてるなら
今度はあきらめないでね
軽快な曲調。よいドライバーズ・ミュージック。私のことあきらめないでよね、という強気なかんじがよい。
この曲を聴いて、冬、雪道を走りながらスキーにでも行こうものなら、それは本当にすばらしいことです。
19枚目。
ユーミンは自由でつよい女性をうたった。あなたに今夜会いに行けば、抱いてとせがめば、続いていたかもしれない関係に終止符をうつ。若き日のマツコ・デラックスはこの曲を聴きながら新宿で、行きかう電車を眺めてすさんだ心をいやしていたらしい。
Missin' the train 今夜中 今夜中に会えば
Feelin' the pain 間にあう 間にあうはずだった
That passion remains 二人の思い出に
Losin' your love いらない いらない合鍵を
Throwin' my love ポストに ポストに落として
No higher love あなたはもういない
No need to explain 抱いてと 抱いてとせがめば
We are so vain 続いて 続いていたかしら
Nothing to gain 果たせぬ約束も
Losin' your love これから これから行方を
Throwin' my love 探さず 探さずどこかで
No higher love お互い生きるのね
26枚目。春よ、来いが入ってるアルバム。
酒鬼薔薇聖斗が好きだったという曲。
さあ 漂いなさい 私の海の波の 間に
ただ 泣きじゃくるように 生まれたままの子供のように
さあ 安らぎなさい お伽ばなしの夢の 間に
まだ 願い忘れた 長い呪文を囁きましょう
不吉な曲で、歌詞も狂気的だけど、語調 がよく聞いてしまう。
名曲。
Hello, my friend 君に恋した夏があったね
みじかくて 気まぐれな夏だった
Destiny 君はとっくに知っていたよね
戻れない安らぎもあることを
短くて気まぐれな夏でした。この曲と砂の惑星が同じアルバムに入ってるんだからすごいことだ。
一気に飛んで34枚目
この曲は何百回と聞いている。
遅すぎた春の告白残して
逃げるように ここへひとり来ていた素足は引き潮に埋もれて
心はあなたへ寄せてゆく
のめりそうな影を 風が抱いてる
ユーミンは名曲だらけだ……全アルバムききかえしたい。
おわり。
