夜の街を歩くのは楽しい。道端では真っ赤な椿がめらめらと咲いていたり、24時間営業の飲食店には都会の疲労が渦巻いていたり、昼にはきらびやかな美容室がしーんと眠っていたり、信号は神経質にチカチカチカチカ光っていたりする。
昨年はたらと夜の街を歩き回った。なんだなんだ、眠れないぞという夜に自転車をこいで近所をうろうろしたり、飲み会終わりに一人そっと集団を抜け、歩いたことのない道に入ってみたり、仕事帰り途中の駅で降りてみたり。
川崎をうろうろしたやつ↓
川崎工場地帯の夜。ステーキ・春闘・構造の抑圧 春はきゃりーぱみゅぱみゅとともに - 今夜はいやほい
いろいろ歩いた結果わかったのは、夜歩くのには適した場所というのがいくつかある。公園、水辺、大きな道路、商店街などなど。
とくに公園はよい。とにかくびっくりするくらい静かである。う~んここは世界の中心か?といった情緒である。土が香り立っていたりするとてもとよい。千葉の某公園は悪の組織のようであった。きっとよからぬことが行われているに違いない。
何でもない公園も葉が色づいてくると綺麗なもんである。
缶ジュースはうまい。
公園の銀杏はなんだか怖い。人を襲いそうである。
水辺は光が映えてよい。皇居の周りなど、わずかに揺れている水面にかすんで、世界は大そう幻想的である。都会だなあ。
鳥だって眠る時間なのだ。
港の潮騒は無機質なかんじがする。
タバコを吸いながら海を見ていた船乗りがふたり
東京のどこかの池。あまりに静かだから、魚が泳ぐ音が聞こえた。遠くにかすかに人々の生活音が聞こえた。
月島のタワーマンションのあたりはよい水辺である
鉄板だけど、たかいところに上るのはよい。
ニンテンドー・トーキョー
丸ビル!
定番だけどね、東京タワー
タクシーのボンネットに反射してる。夜の街はほんとうにタクシーだらけだ。都市をうごめく夜光虫のようだ。
昼間できない場所は、夜、工事がおこなわれている。夜の工事現場にはなにやら文学の雰囲気がある気がする。佐藤泰志とか西村賢太とかそんなかんじの。
あと、夜の花屋というのはなかなかよいものである。
午前1時の花屋
これも花屋
都会ばかりではなく、田舎もいいもんである。地元は電灯の数も少ない。電灯の周りにだけ世界が発生している。
夜の散歩は最高だ。お金もかからない、缶ジュース代くらいである。とにかく黙々と歩くのだ。一人でも楽しいけれど誰かと歩いているとより楽しい。僕の友人は夜に呼び出してもぽんぽんついてきてくれる人が多くて心強い。二十代も後半となってひさしいけれど、夜の街が僕たちのものであり続けますように!!とか恥ずかしげもなく(それはうそだけど)思うのだった。
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