- 甘やかな下仁田ネギと豚肉のすき焼きを食べに群馬へ向かう
- 真昼間、高崎のスナック 街をほっつき歩く
- 喫茶コンパルにてアイスティー
- 高崎電気館で古めかしい椅子に座り、チャップリンの映画を見る
- 群馬はグルーバル化の先端地域だった
- 群馬にはカツ丼の店が多い気がする
- 乗り込んだ電車はウサギのぬいぐるみだらけで
- 桐生で営業中、ウクライナスナック
- モーニグを食べよう、モリムラ喫茶店
- 桐生名物ひもかわうどん、および、ソースカツ丼
- 登利平の弁当を携え帰路につく
GWどこかに行きたいけれど、しかし、どこに行っても混んでいそうで嫌だな、どうしようかなと思っていた。だらだらと過ごしていたら、あっという間にGWの前半が終了していた。
新幹線に乗るのも混んでいるだろうしと思うと、自動的に関東に選択肢が絞られた。かと言って関東では一抜けで人気と思われる神奈川は混んでいそうだ。ということで、埼玉から比較的行きやすい群馬に行き、非温泉地帯を巡れば、混雑に巻き込まれることなく移動できるのではないか。これは名案なのではないかと思い立ち、大宮から高崎に向かう電車に乗り込んだ。
甘やかな下仁田ネギと豚肉のすき焼きを食べに群馬へ向かう
大宮を出て、ビルが減ってきたなあと思ったら寝落ちしており、あっというまに高崎についていた。ぼやけた頭で駅に降りる。今回、消去法ではあったが、何もアイデアなしで群馬の地に降り立ったわけではない。下仁田豚と下仁田ネギで作られる豚のすき焼きを出すコロムビアという店にずっと行ってみたいなと思っていたのだ。
ぐんまちゃんなるゆるキャラが立て続けに三体目に入る。群馬だから馬なのだろうか。馬と言われれば馬だが、ウサギと言われればウサギに見えなくもない。高崎に着いて、そのまますぐに、上信電鉄という私鉄に乗り換えた。
上信電鉄は、0番線らしい。どこか異界に連れて行かれそうでいい感じである。
上信電鉄は有名どころだと、富岡製糸場にいくときに使われたりするらしい。GW需要でそういうところにいくのに多少混んでいたりするのかなと思ったのだけど、電車は完璧にがらがらだった。1車両に数人が乗っている程度だった。群馬は基本的に車社会だろうから、おそらく富岡製糸場にいくにも、近隣の人であれば、車で行くのだろう。
電車の窓越しに群馬の景色を眺める。小さな山がぽこぽこと並んでいる。同じ関東でも埼玉の真っ平らな感じとはまた印象が全然違うのだなと思った。がらがらの電車でだらんとくつろぎ、ふっと意識が飛んだら、あっという間に下仁田の到着した。電車通勤に体が最適化されて、電車で席につけたなら、自動的に、意識がぱっちんと切れるようになっているのかもしれない、なんて思うくらいに完璧に寝ていた。
群馬に来た大目的、豚すき焼きを食べるべく店へと向かう。車が通れるか通れないかの道を歩く。豚か、豚はうまいのだけど、すき焼きはやはり、普通に考えたら牛だよな。生姜焼きは豚、すき焼きは牛これはなかなか動かし難いことなのではなかろうか。
お、あった、あれがコロムビアか!と店を見つけるのと同時に長蛇の列ができているのが目に入った。そんなに人気だったのか...これは30分は待たねばならない感じだな、しかたないかと意気消沈していたのだが、店に近づくと、その列はコロムビアではなく隣の中華料理屋のものであるらしいことがわかった。むしろ、コロムビアは誰も並んでいなく、なんだったら一番乗りであった。
店構えがよい。角ばったフォントの営業中がどんと来いという感じで、好ましい感じだ。
いの一番に店に入り、ど真ん中の席に座る。ちょっとした料亭のような雰囲気だ。大衆的な感じと、シュッとした感じが同居している。豚のすき焼きをオーダーした。座っているだけで感知した。ここはどうやら名店である。
豚は、不敵にどっしりとした大きさで、新鮮さを感じさせる赤身を放っていた。想像していたよりも少し厚めに切られているように見える。スタッフの女性が、すき焼きの作り方を説明してくれる。食べたい気持ちを押さえ、GWにわざわざ豚すき焼きを食べにはるばるやってきたなんて微塵も感じさせないように、ま、なんとなく立ち寄ったんですよね、といった感じの面持ちで説明を聞く。
まず、牛脂をとかし、そうしたら、ネギを炒めるのです、とのことだったので、ネギを鍋に放り込む。下仁田ネギはぱつぱつに新鮮で、エネルギーの所在を感じた。少し焦げがついているくらいがうまいだろうと思い、じっくりネギを焼く。甘い香りがただよってきた。
次は、野菜をつめてくださいとのことだったので、言われるがまま野菜を放り込んでいく。
野菜を蒸すように肉を乗せる。最後に割下を注ぎ込むということだ。この瞬間、僕のGWは限りなく成功に近づいているのを感じた。
すき焼きを待ち、卵を溶く時間は、なんとも甘美な瞬間の一つである。
豚というのは火をしっかり通す必要があるのでなかなか待ち遠しい。肉を見極め、適度に火が通ったのではないかと思われる肉を鋭く箸でつまみ、卵を絡める。少し厚めに切られた豚が、甘味と旨味をたくさん蓄えていて大変美味しい。牛もうまいが、豚のすき焼きも良いものではないか!厚さが絶妙で、あまり食べたことのない感じの肉の処理だった。肉を感じられて、とてもよかった。
下仁田ネギもトロトロになって、割下を吸い込んでいる。これがなんとも米に合う。無心ですき焼きを食べた。すき焼きを独り占めするというのは、なんとも言えない贅沢な感じがある。GWでそこかしこで発生しているであろう渋滞に思いを馳せた。群馬ではこんな名店でも、たった一人でご飯を食べることができるのだ。
なぜか、店を出る時、チョコレートをくれた。口に放り込んで駅へと向かう。群馬周遊はなかなかいそがしい。
高崎行きの上信電鉄に乗り込む。帰りの電車は同じ車両に客は一人で、斜向かいで老人がうまそうに缶酎ハイを飲み、つまみのチータラをかじっては遠い目をしていた。車窓から青空がのぞいた。
真昼間、高崎のスナック 街をほっつき歩く
腹も満たされ高崎に帰ってきた。街中をぶらぶらすることにした。高崎は駅前は大変賑わっている。埼玉県民的にはついつい大宮と比べてしまうが、駅前は大宮よりも高崎の方が賑わっている感じがある。
道を歩いていると、おばあちゃんに「君、すごい暑そうだね」と話しかけられる。そう、僕は、もっぱら、天気予報を頼りにしないで生きているので、突然雨に降られたり、全く天候に適さない服装をしていることがよくあった。今日も、30度を超えているにもかかわらず、朝はそれほど暑くなかったので、長袖で家を出てしまっていたのだ。
「はは、暑いですよね、はは」と乾いた笑いを添えて返事をした。おばあちゃんは「あついよねえ」と言って去っていった。
駅前とは違い、アーケード街は驚くほどに人がいなかった。
一本奥の道に入ると、スナック街が広がっていた。夜は賑わっているのだろうか。
喫茶コンパルにてアイスティー
高崎には数年前に一度来たことがあり、その時に入った喫茶店で休憩することにした。
高崎の街中の雑居ビル二階にあるコンパルという喫茶店なのだが、高齢のマスターがお店を仕切っており、相変わらず元気そうだった。ただ、店が前回よりなんとなく汚くなっていたような気がした。マスターがお疲れでないと良いのだが...
暑いので、アイスティーをがぶ飲みした。
高崎電気館で古めかしい椅子に座り、チャップリンの映画を見る
コンパルでTwitterを見ていたら、フォローしている人が前日に高崎に行っていことを知った。高崎電気館という渋い映画館でチャップリン特集をやっていてそれを見たとツイートしていた。調べてみると高崎電気館はすぐそばだったので行ってみることにした。
映画館の名前が電気館であることに歴史を感じる。2001年に一度営業停止となったらしいのだが、2014年に市が建物をゆずりうけ、今はNPOが経営を行っているらしい。
文字に歴史の残り香を感じる。
チャップリンの独裁者を見る。チャップリンの映画って考えてみると初めて見るかもしれない。ヒトラーに扮したチャップリンのコミカルな動きをぼーっと見ていたら、30分くらいで寝落ちしてしまい、起きたら映画も残り少しになっておりチャップリンが大演説をおこなっていた。神の国は人間の中にある、なんていうセリフも飛び出し、いい演説だなと思うと同時に、西洋の作ってきた価値の万能感に満ちているなあとも感じた。
寝落ちしたのであっという間に終わってしまった。疲れていたのかなんなのか、やたらと寝てしまう日だ。
映画を終えて、高崎駅と向かって歩く。陽が徐々に傾いてきていた。まだ、どこで泊まるかも決めていなかったので、とりあえず、群馬といえば、高崎と前橋だろうなあという、ぼんやりとした知識に従い、前橋に行ってみることにした。
群馬はグルーバル化の先端地域だった
両毛線に乗って、驚いた。若者に限って言えば、40%くらいが外国の人たちなのだ。群馬は、外国から働きにきている人がとても多いと聞いてはいたがここまでとは思っていなかった。その驚きをツイートすると、群馬は車社会なので、免許を持っていない率が高い外国の人たちが公共交通機関に集まるため、必然的にその割合が高くなるということを教えてもらった。平日夜のバスにいたっては、自分以外全員外国人ということもザラなのだという。
グローバル化は、北関東が最先端説を聞いたことはあったが、何事も見ないことには実感が湧かないものだ。
電車は静かに群馬の大地を進み、あっという間に前橋についた。前橋駅ではかりっかりに日焼けしたサッカーのユニフォームを着た少年が駅の中にあるピアノでどこかで聞いたことあるようなクラシック音楽を弾いていた。元気そうな少年が器用に弾いていて、つい聞き入ってしまった。
前橋と聞いて人々は何を思い浮かべるのだろうか。僕の中では前橋といえば広瀬川である。細い川幅にめいいっぱいの水が激しい勢いで流れていく。街中にあるにはやや過剰な激しさで目が奪われるのだ。川にそって柳が植えられていて、対照的になんだかゆるい感じであった。
川に謎の段差があった。暇なので眺めることにした。こちらまで飛沫が飛んできそうなくらいだ。ああ、川だな、激しい川だ、と思いながらしばし流れに目をやる。近くにあった自販機で飲み物を買ってきて、また川を見た。ネパール系のおっちゃんも隣で一人川を見ていた。良い街の条件は、良い川を持っていることだと思う。
群馬を歩いていると、カツという文字をやや高い頻度でみるような気がする。あまり群馬でカツが有名と聞いたことはない気がするので気のせいなのかもしれないが、もしかして隠れ名物だったりするのだろうか。少なくとも埼玉を歩いて見かけるカツよりも群馬で見かけるカツの方が多い気がする。
サブリミナル効果のように意識下にカツが蠢くようになってしまったので、GoogleMapでカツと検索すると、近くにカツ丼が食べられる松葉屋という定食屋があることが判明した。導かれるようにして、店へ向かった。
群馬にはカツ丼の店が多い気がする
とりあえず一杯飲んで落ち着くかということで、日本酒を頼んだ。壁一面にメニューが貼り付けてあり、カツ丼と上カツ丼があることがわかった。
これは旅行中なわけだし、行くしかないだろうと、上カツ丼をオーダーした。たけのこをかじり日本酒をちょろっと飲んでいると上カツ丼はやって来た。
カツ丼には大きく分けて薄切り派と厚切り派があると思うのだが、僕はカツ丼のカツは薄いほうが好きなタイプであった。肉が厚すぎるとカツ丼を食べてるというより、なんだか豚かじってますみたいな感じがして、別料理な感じがしてくるのだ。松葉屋のカツは薄すぎないけれど薄めなちょうどよい厚さであった。
少しだけ固くなったくらいのよい卵加減である。しかし、僕はすぐ後悔をした。そう、上カツ丼は、脂がマシマシだったのである。美味しいは美味しいのだけど、とにもかくにも脂が全開なのだ。正直、普通のカツ丼にしておけばよかったなと思った。何事も上にすればよいというものではない。二択をはずす人生だ。自らがカツ丼薄切り派の中でも非上カツ派であることを理解した。
自らの信仰を確認したところで、前橋を後にすることにした。まだ七時くらいだったのでここで眠りにつくのは少しだけ早い気がしたので更に東に行ってみることにした。伊勢崎と桐生は聞いたことがあったので、そのどちらかにしようと思い、ホテルを調べたら桐生に安くてそこそこきれいそうなところがあったので桐生に向かうことにした。
乗り込んだ電車はウサギのぬいぐるみだらけで
上毛電鉄という路線の電車に乗り込んだ。銚子電鉄などもそうだが、地方の私鉄というのは不思議な内装をしていることが多い気がする。乗り込んだ電車にはそこかしこにうさぎがちょこんと据え付けられていた。
節電中なのか車内は薄暗く、うさぎのぬいぐるみは少しだけ不穏な印象を与えた。まじまじとややリアルなうさぎの目を見ているとつるんとして硬質な黒目に魔力が宿っていそうな気がして、怖さがある。
上毛電鉄もがらがらだった。GWに群馬というのはもしかして結構良いのではないかと思った。何も、旅行だからと言って、風光明美なものを必ずしも見なくてもよいのだ。こうして、ぶらぶらと電車に揺られるのも贅沢な時間である気がした。ただ、もしかするとウサギはいないほうがいいのかもしれないと思った。
桐生に到着した。桐生というのは、群馬の東のほうで、もう少し行ったら栃木というようなところである。群馬の土地がどう広がっているのか一日で理解が深まった。駅をおり、少し歩くともともとデパートだったと思われる大きなドンキホーテが現れた。なんとなく入ってみる。ドンキホーテは閑散としていて白熱灯が人工的にギラギラと輝いていた。
桐生で営業中、ウクライナスナック
5000円弱のホテルに荷物を置いた。まだ寝るには少し早いかなという時間だったので、少し休んで、散歩に出ることにした。今歩くにはそれほど差し支えないけれど、一歩間違えると傘が必要というような雨が降っていた。
桐生には、まあまあ大きなスナック街があるようだった。あちらこちらからカラオケで威勢よく歌うおっちゃんの声が聞こえてきた。
すこし狭い路地を覗くと、路地の先に、あまりにも字の印象と解離しているハッピーというスナックがあった。ちょっと入ってみたいと思ったが、そのためには、三回くらい人生を転生して経験を積まなくてはいけないような気がした。
うろうろと歩いていると、白い看板にキリル文字が浮かんでいるのを見つけた。ナタリヤである。なんだなんだと思って調べてみると、ウクライナの方がスナックをやっているということのようだった。
桐生のスナック街はなかなか多様性があるようだ。ホテルの近くのダイニングバーのようなところに入って寝る前に軽くいっぱい飲むことにした。
「この辺のひとですか」
席に着くとマスターが話しかけてきた。
「いや、埼玉から来たんですよ」
「埼玉から?何をしにきたんですか」
「ゴールデンウィークひまなので旅行です」
「旅行!群馬のこんなところに?それって楽しいんですか」
「そうですね、個人的には結構楽しいですが...」
ジンソーダを2杯飲んだ
「明日ご飯食べるならどういうのがいいですかね」
「う〜んそうだね、一応ひもかわうどんってやつが有名だけど、あえて食べるということもない気がするね。個人的には、ソースカツ丼が好きだけどね」
マスターは電子タバコを吸って、おすすめの店を教えてくれた。
コンビニに寄って、ポケットサイズのウイスキーを買って帰り、ホテルで少し飲んだ。
モーニグを食べよう、モリムラ喫茶店
しとしとと雨が降っていた。とりあえず朝ごはんを食べるべく、モーニングとgoogleMapで検索してみた。近くに、喫茶店があるようだったので、行ってみることにした。桐生という街は、絶妙に古い建物がちらほら残っていて、なかなかいい味わいを感じさせる。
数分歩くと、モリムラ喫茶店を発見した。
静かな店で、ただ、マスターの体調が悪いのか、とにかくゲホゲホと咳き込んでいて、これは大丈夫なのか...と思ったのだが、しかし、食べないわけにも行かないので気にせず食べた。特にその後熱がでたりすることはなかった。
今日、いったい何をするのか予定はなかった。とりあえず、昨日バーで聞いた通り、ひもかわうどんかソースカツ丼を食べるとして、それまで時間があるんだよな、微妙な時間だよな...と考えていると、そういえば、群馬といえば温泉なわけだが、この全く温泉と関係がなさそうな地域にもあるのだろうかという疑問が湧いてきた。調べてみると、いくつかあるらしく、車でいけば、15分くらいのようだったので、車を借りて、行ってみることにした。
渡瀬川沿いを走る。川の向こうに山が見えた。山は雨で煙っていて、絵画的な感じがした。群馬の光景だと思った。
半分はジムで半分は温泉という施設だった。広くてなかなかよい感じだった。露天風呂にはいるとぱらぱらと雨が降った。風呂に入っているのか雨に降られているのかよくわからなかったが、野趣を感じられた。
温泉を出て、休憩所で漫画を読んだ。昨日けっこう動き回ったので、今日はゆっくりしようと思った。小一時間くらい漫画を読んでいたらだんだんと腹が減ってきた。
桐生名物ひもかわうどん、および、ソースカツ丼
昨日教えてもらったソースカツ丼の店に行ってみることにした。教えてくれた人は、ひもかわうどんなんて大したものではなく、ソースカツ丼こそ重要なのだとのことだったので、それは従った方が良いだろうと思ったのだ。
車をびゅーっと15分くらい走らせると、その店が目に入ってきた。しかし、店は無情にもしまっていた。こうなれば、気を変えてひもかわうどんを食べることにするかと検索してみた。すぐ近くに、ひもかわうどん屋があったのでそこに向かった。(店名を忘れてしまった)
ちょうど開店したばかりのようだったが、店に入ると、ほぼ満席だった。最後のひと席に腰をつけて、メニューをめくった。すると、そこにはソースカツ丼のセットもあるようだった。両方食べられるではないか!
ということで、ひもかわうどんとソースカツ丼のセットを注文した。
とりあえず、あれだけ勧められたしなと、ソースカツ丼を、いきよいよく頬張った。これが、ところが、しかし、全然美味しくなかったのである。豚の強い臭みに加えて、ころもが油でべちょっとしていて、カツの良さを徹底的に消し去っていたのだ。がっくりしてしまった。
ああ、なんということだと思いながらあまり期待をせずにひもかわうどんを食べた。期待感は市場もびっくりの急降下のストップ安だったため、ほとんど無に近い気持ちで食べたのだが、ひもかわうどんはうどんの中でもかなり好きな味だった。太さは見ての通りだったのだが、長さに関しては、思ったよりもだいぶ長く、箸で持ち上げると、ずしっとした重さがあった。平べったいことによって冷たい麺の食感が抜群に感じられ、蒸し暑い時にたべるとまた格段によいなあとおもった。え、おいしいじゃんと黙々と食べてた。
うどんを噛みながら考えた。これは、もしかすると、ソースカツ丼屋でたべるひもかわうどんは美味しくなく、うどん屋で食べるソースカツ丼はおいしくないということがあるのではないかと思った。また、今度はおまけではない方のソースカツ丼を食べに来たいと思った。
登利平の弁当を携え帰路につく
車を返して、西桐生駅へ向かった。電車を乗り継ぎ、太田に向かう。
太田駅に着いた。駅の目の前にはハイカラな図書館があった。少し見学してみるかと中に入ると、不勉強でしらなかったのだが、太田市というのは自動車のスバルの発祥の地であるらしく、スバルとコラボした展示などがあったりして面白かった。若者たちでよく賑わっていた。
太田市から、熊谷に行くバスがあるようなので、乗り込む。寝て起きたら熊谷だった。熊谷駅には群馬の名品、登利平弁当が売っているようだったので、土産にひとつ買うことにした。
登利平というのは、名の通り、鳥の弁当である。横浜が崎陽軒なら群馬は登利平である。
登利平について、複数の群馬県民から授かった知見によると、一番安いものが一番うまいとのことらしいので、買うときはいつも一番安いやつを買うようにしている。たしかに少し安そうなさっぱりした鳥が薄切りでかさねられているのだが、さっぱりしているけれど、パサパサしたりはせずに、ご飯とタレが渾然一体となり、絶妙に美味しいのだ。
登利平弁当を食べながら、こうして食べ歩いてみると、群馬の街は多様で、魅力的な食べ物がたくさんあったなとおもった。温泉街抜きでも全然楽しいし、温泉街も組み合わせたならより良いことになるだろうと思った。最後に弁当の隅に残った梅干しをかじって、ゴールデンウィークが終わった。