今夜はいやほい

きゃりーぱみゅぱみゅの「原宿いやほい」のいやほいとは何か考察するブログ

一泊二日、宮崎を食べる。あなたはチキン南蛮、胸肉派/もも肉派

 

宮崎に来たからには、おぐらでチキン南蛮を食べねば始まらない

配偶者がオタ活のため、宮崎に行くとのことで、主に、配偶者の運転手として、宮崎に随行することとなった。配偶者は宮崎についても、ああ、緊張する、どうしよう、緊張すると、心穏やかでないようであった。

 

僕は、運転要員であることをこなしさえすれば、あとは基本的に自由だったので、心ここにあらずの配偶者を横目にチキン南蛮のことばかり考えていた。宮崎と言えば、チキン南蛮である。これを食べない手はないではないか。

 

ということで、宮崎駅についた。まず、チキン南蛮の元祖であるらしい、おぐらへとまっすぐ向かうことにした。

 

さすが、焼酎王国九州である。焼酎の日を宣言する垂れ幕がかかっていたりする。

 

 

宮崎は、道が整然としている。木ものびのびと枝を伸ばしていて気持ちよさそうである。散歩向きの街である。

 

 

けっこう混んでいるという噂を聞いていたのだけど、昼もだいぶ過ぎた時間だったので、おぐらは特に混んでいる様子はなく、すぐに入ることができた。ファミリーと書いてあるが、たしかに、少しファミレスっぽい雰囲気がある。

 

 

中は、全体的にオレンジな色味が多く、かわいらしい感じの店内である。畳のエリアなんかもあり、独時の雰囲気を感じた。地元の高校生が正座で一人、チキン南蛮を食べていたりして、チキン南蛮は地元の人にも愛されているのだなと思った。

 

 

メニューにさっと目を通し、速やかに、チキン南蛮を注文した。あとはもう待つだけだ。ついでに、宮崎と言えばマンゴーという非常に浅い知識によって、マンゴージュースも注文してみることにした。

 

 

配偶者は、情報収集に余念がなく「わたしもチキン南蛮で」と言った後、やはりそわそわとスマホを見続けていた。どう移動しよう、うーんとぶつぶつと何かをつぶやいていた。一方、僕は、そんなことは気にもとめず、チキン・南蛮・チキン・南蛮と心でチキン南蛮を唱えていた。ともに生きるということは往々にしてこういうことである。

 

すいている時間帯だったので、チキン南蛮はすぐにやってきた。キャベツを踏み台として、迫力のチキンが横たわっている。チキンもすごいのだが、どろりとかかるタルタルソースの量たるや、なかなかのものである。ナイフをぐっと差し込む。

 

 

さすが、世に名をとどろかす、天下のおぐらのチキン南蛮、とても美味しい。肉、衣、まとわる甘酢、さらにそれを覆いつくす圧倒的なタルタルソース。米が食べたくなるいい感じの味の濃さである。

 

「これうまいねえ」と言うといったんオタ活界から戻ってきた配偶者がおっと現実界でも何やら進捗があったのかといった様子でチキン南蛮を食べ始めた。

 

「本当だね、はあ、美味しいね」と無心で、チキン南蛮を食べていた。僕が話しかけてもやや上の空だが、チキン南蛮は配偶者を現実世界につなぎとめるパワーがあるようだ。

 

予想と違うことがひとつあった。鳥が胸肉なのだ。唐揚げも、もも肉のほうが基本的に美味しいし、きっともも肉なのだろうなと思って食べたので、肉自体が思ったよりも、かなりさっぱりしていたことに驚いた。

 

 

タルタルは、ケチャップが入っているのか、独特な酸味があった。なるほど、たしかに、このタルタルと食べるのであれば、肉はさっぱりしていたほうが美味しいきがするなあと思った。さすが、チキン南蛮を作り出した店だ。

 

こんな感じで作っているらしい。

おぐらのタルタルソースづくり編 | 【公式】延岡おぐら

 

マンゴージュースをすすった。一日の摂取カロリーをすでに摂取しているのではないかという疑惑があったが旅行なので無視だ。

 

「宮崎、めっちゃいいね」

 

僕は、早くも宮崎が好きになった。

 

「だよね」とやや強引に引っぱってきたこともあったので、僕が楽しそうにしていることに安心しているようだった。

 

 

宮崎県庁を訪問する

配偶者が、何かで情報を仕入れたらしく、県庁がなかなか建築として立派らしいとのことで、行ってみることにした。

 

 

警備の人が話しかけてくれて、窓口まで連れて行ってくれた。

 

「どこからいらっしゃったんですか」と警備の人が言った。

 

「埼玉から来ました」

 

「埼玉ですか、埼玉から来たら宮崎は田舎でしょう」

 

「いや、むしろ、ほとんどの埼玉は宮崎市よりは田舎のように思いますよ」

 

宮崎市に勝負ができるのは大宮くらいのような気がする。九州はどこも県庁所在地もなかなか活力がある。

 

 

ビルの中は、かなりゴツゴツとした構造をしており見ごたえがある。警備スタッフの人が、1932年に建設されて、当時、70万円、現在の価値で言うと50億円くらいかけてこの建物は作られたんですと教えてくれた。まさに地元の威信をかけてつくられたのだ。

 

 

なんと、現在でも一部現役で使われているらしく、公務員の人が、ああ、いそがしい、いそがしいといった感じで、会議室を出たり入ったりしていた。

 

 

クリームの浮かぶ、ウルワシのコーヒーを飲んで

ホテルに荷物を置く。大通りに面していて、歩くのも気持ちいい。

 

茶店に入って、コーヒーを飲むことにした。配偶者は、翌日の行動プランを立てるのに余念がなく、不確定要素にどのように対処するかについて、時々、手を頭に当てながら、絶えず熱心に検討していた。

 

 

僕は、どうすればよいかと意見を求められ、そうだなあと考えるふりをしつつコーヒーを飲んだ。たっぷりとホイップクリームがついてきた。宮崎市の古めの喫茶店では、コーヒーにホイップクリームが付いてくる店があるらしい。固有の文化で素晴らしいなと思う。

 

 

でも、ここを電車で行くと、ここの乗り継ぎを考慮する必要があり、うんぬんかんぬんと、配偶者はやはりうなっていた。僕は傾聴の表情でコーヒーを飲んだ。

 

ポロポロ書店

作戦はうまい具合に計画されたようで、配偶者は、とたんに落ち着きを取り戻した。僕は、配偶者が計画構築に注力している間に、宮崎市内のことについていろいろ検索をしていた。喫茶店の近くに、ポロポロ書店という本屋さんがあるのを見つけ、行ってみようよと誘ってみた。

 

僕はファッションにほとんど関心がないのでよくわからないのだけど、宮崎は、おしゃれな感じの古着屋などがちらほら目に入る。シーシャの店などもある。いろいろ凝った感じの個人店がいろいろあるようだ。なんとなく中央線っぽい感じがする。

 

 

楽しいお買い物、文化ストリートという通りがあったので入ってみた。

 

 

多くの店は閉まっているようだったけれど、いくつか新しいお店が入っていて、そこは賑やかそうだった。街が重層的だ。

 

 

そんな感じで散歩しつつ、ポロポロ書店にたどり着いた。戸を開ける前から、すこし音楽が漏れ聞こえていた。こんにちは~と入ると、結構な音量でいかした音楽が鳴り響いていた。書店というよりクラブのようであった。もう一度こんにちは~と言ってみるもなんの反応もなかった。店主も見あたらない。

 

店は奥に細長くどこか洞窟のようで、本棚は横一列に伸びており、人がギリギリすれ違うことができるかなという感じの広さだ。

 

 

本棚三つ分くらい進むと、細長い空間に少し広がりが出て、そこに店主の方がいらっしゃった。

 

「あ、すみません!」と店主は突然の来訪に驚いたようだった。

 

「こちらこそいきなりすみません」

 

「いえいえ、全然気が付きませんでした。ちょっとお酒を飲んでいたもので」と店主は少し頬を少し赤くしていた。

 

「どこからいらっしゃったんですか」

 

「埼玉から来ました」と配偶者が答えた。

 

「あ、旅行ですか」

 

「はい、そんな感じです」と配偶者が答えた。

 

「お店の名前は、田中小実昌から来てるんですか」僕は、ポロポロという小説を思い浮かべていた。

 

「そうなんですよ」

 

イカした音楽をBGMに、細い棚の前で、いくつか本を取ってぱらぱらとめくり、1冊本を買った。

 

「夕飯をまだ食べていないんですが、このあたりでいいお店とかありますか」

 

「そうですね、有名なのは、どこどことかで、私は、どこそこがけっこう好きですね」と地元の店を教えてくれた。酒好きそうな店主から聞いた店なわけだから、説得力がある。ドアを開けた。もと通りの宮崎の街が広がっていた。本当に洞窟から出たようだ気分になった。異空間の本屋だった。

 

丸万でもも焼きを食べる。

教えてもらった居酒屋に向かってみたのだが、残念ながら満席だった。待ってもよかったのだけど、時間的にまだ出てくる人はしばらくいないかなあと思い、またの機会があることを祈り、そこを離れた。

 

 

代わりに、宮崎の有名なもも焼きの店に行ってみることにした。

 

 

お通しなのか、もも焼きの付け合わせなのかよくわからないけれど、キュウリが出てきた。百年の孤独ソーダ割を注文した。普段、焼酎を全然飲まないので、初めて飲んだ。結構おいしい。

 

 

これが、初めてのもも焼きだ。こりこりしている。残念なことは、やや冷めているということだ。鶏というのは焼き立てで食べたいものだ。人気店で混んでいるので、オペレーションが詰まっているのかもしれない。

 

 

辛麺でしめるのが、宮崎スタイルらしい

ということで、もも焼きはやや消化不良だったので、唐麺を食べに行くことにした。知り合いが、ここは宮崎市内で一番うまいという店を教えてくれていたのでそこに向かった。スナックがたくさん入っているビルの一階だ。

 

 

なんというかしめやかな通路である。

 

 

辛麺に加えて、なんこつというメニューがあったので注文してみた。最初に軟骨が来たのだけど、これがぷりっぷりだった。油でかなりこってりしているのだけど、ポン酢っぽいタレにつけて食べるので酸味ですっきりと食べられる。これはよいつまみである。

 

ただ、結構な大きさなので複数人で食べないと、油で一気にやられてしまいそうだ。

 

 

辛麺が来た。塩気とニンニクと辛みががつんと来る。すごいパンチだ。宮崎のパワーを感じる。こんにゃく麺も独特の食感でおもしろい。くたくたに酔ったあと、夜を終わらせるために食べるんだろうなと思った。配偶者は辛い麺類に目がないので、おいしそうに食べていた。

 

 

トリスバー赤レンガでトリスのハイボールを飲む

配偶者は明日を万全の体制で過ごすため、ホテルへと戻っていった。辛麺を教えてくれた人が、同じくおすすめしていた、トリスバーへ向かう。1956年オープンらしい。トリスバーはたまに見かけるけれど。ここまで古い店はなかなかないのではないかと思う。

 

なんと、入りにくいドアだろうか...二階は洋酒天国という店らしい。サントリー好きだったらたまらないビルだ。

 

恐る恐るドアを開ける。店は奥のほうのひと席が空いているだけで、大変な賑わいだった。老人たちが、わあわあと酒を飲んでいる。長い歴史を経て、いまだにこれだけ人を集めているのは本当にすごいことだ。

 

当然トリスハイボールだ。ほかの人たちはトリスにこだわるということもなく、思い思いにカクテルなどを頼んでいるようだった。いい薄さと好みのカットが入っているグラスだ。ハイボールを、ごくごくと一気に飲む。特別な味がするわけではないけれど、ハイボールは普遍的に美味しい。

 

隣の老人たちは、宮崎人のアイデンティティとはテーマで何やら話に花を咲かせていた。

 

 

ここは、宮崎人の憩いの場所なのだなあと思った。何十年通える気に入った店があるというのは幸せなことだ。そんな店にひょいと寄らせてもらうというのもまたよいものだ。残ったハイボールをぐいっと一気に飲み干して、一杯で店を出た。

 

 

コンビニで霧島を買い、ホテルで飲む

帰りに霧島を買ってホテルに戻った。普段、ほんとうに全く焼酎を飲まないのだけど、からっとした独特の香りがけっこう好みだった。なにごともいろいろ試してみるものだ。

 

配偶者は、万全の体制で明日にのぞむべく、じゃっと言って速やかに眠っていた。僕もだいぶ酔いが回ってきていて、油断したらそのまま朝だった。

 

おくのうどん店の朝食のうどん

ホテルに朝食が付いていなかったので、配偶者のオタ活前に、うどん屋に入った。うどんの湯切りが細かくて、職人!という感じのする手つきだ。麺は柔らかめで、いりこの香りがバーンと広がってくる。結構塩気が強めだ。辛麺もチキン南蛮も、結構味が強めだった。宮崎では濃い目の味が人気なのだろうか。

 

 

宮崎日日新聞が転がっていたので読んでみる。宮崎でも人手不足がひどいというようなことが書いてある。高卒者への求人もかなり数が多いらしい。所得も微増中とのことだ。九州はなんか、全体的に景気がよさそうな雰囲気がある。

 

なるほど~と思いながら麺をすする。配偶者はもう、心ここにあらずでずっと緊張しているようである。

 

海に浮かぶ青島神社

配偶者のオタ活専用ドライバーと化し、目的地まで運転して、いったん別行動となった。宮崎は初めてなのでとりあえず有名なところに行ってみるかと青島神社へ向かってみることにした。

 

青島神社は海に浮かぶようにして存在している。橋が島まで続いている。海風が心地よい。

 

島は砂で覆われていて南国感がすごい。灯篭が砂の上に立っているのも不思議な光景だ......

 

神社が南国的木々に覆われている。

 

 

参道もこんな感じで、なんというかエキゾチックな感じが漂っている。あまり、見たことないタイプの神社で、僕は一人で、何だこれすごいと楽しんだ。

 

 

 



日向夏ドリンクを買って、散歩しながら車まで戻る。日向夏って美味しいよね......

 

 

道端で、金柑、たまたまを食べる

駐車場の近くの売店を除くと、たまたまなるものが売っていた。

 

 

「これ、金柑ですか」

 

「そうですよ、この辺では、このたまたまっていう金柑が甘くて有名なんですよ」と言って、はいどうぞとたまたまをひとつ試食にくれた。

 

「え、めっちゃ美味しいですね!」

 

「そうでしょ、美味しいんですよ」

 

「金柑の独特のいい香りが吹きこぼれてきますね」

 

大げさに驚く僕を見て、おばちゃんはクスクス笑っていた。僕は、瞬時にこの金柑たまたまを購入することを決めたのだった。

 

 

袋から取り出して、さっそく一個かじった。高貴な香りがした。めちゃくちゃ美味しかった。日向夏にうつつを抜かしていたが、いや、金柑こそ柑橘の王だと僕は車で一人黙々と金柑を食べた。

 

竜宮のもも肉ふわふわチキン南蛮

配偶者に電話すると、まだまだ時間がかかるというような感じだった。どこかで昼ご飯を食べるか。いやあ、昨日のチキン南蛮美味しかったなあ、やはり最後にチキン南蛮だろうなあと思った。

 

車で15分くらいのところにあった竜宮という店に行ってみることにした。外観は、かなりラーメン屋っぽい雰囲気である。

 

店に入ると、ラーメンを食べている人もいるようだが、8割の人がチキン南蛮を注文しているようだった。席について、僕も、同様にチキン南蛮を頼んだ。

 

すぐチキン南蛮はやってきた。竜宮のチキン南蛮はどっぷりとたれに浸かっており、テカテカと光り輝いていた。おぐらのチキン南蛮とはかなり雰囲気が違うようだ。

 

チキンがめちゃくちゃでかい。箸で持ち上げると、くたっと重力に引かれて傾くくらい肉が柔らかい。

 

食べると、衣がめちゃくちゃ柔らかく、たれが衣からじゅわじゅわと染み出てきた。おそらくこれはもも肉なのだろうなと思った。おぐらは胸肉でさっぱりしていて、たれとよい塩梅であったのだけど、こちらは、ドロドロのたれにぷりぷりのもも肉で、なんとも中毒性が高い味わいだった。

 

これにたっぷりとタルタルソースをつけ米と一緒に食べる。圧倒的に体に悪そうだ。しかし美味しいのだから仕方がない。同じチキン南蛮でも肉の種類から揚げ方、たれ、タルタルまで様々なバリエーションが存在し、正直、別の食べ物なのではないかというような多様性だ。チキン南蛮を食べるために、数日滞在したいくらいだ。

 

 

おぐらも竜宮も、どちらも大変おいしいチキン南蛮であった。真の宮崎県民は、もも肉派と胸肉派、どちらが多いのだろう。これは思想的問題である。僕は、いったいどちらにつくべきなのだろうかと考えた。どちらかと言えばおぐらか?う~んとうなりながら、配偶者を迎えに車を走らせた。急上昇する血糖値の中で回答は出ず、ただほとばしるようなエネルギーが体にチャージされたのを感じた。